新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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小型犬の股関節の成長板骨折の外科手術
 超小型犬が多く飼われはじめています。
とくに、プードルの『ティーカッププードル』が
ブームに乗って飼育頭数が増えています。

 そこで、問題になるのが、膝の病気(膝蓋骨脱臼)、
股関節の病気(レッグペルテス)、脳の病気(水頭症)、
などなど、上記以外にも多くの病気が見つかります。

 この子は、1週間前から左肢をびっこ引き、良くなったり
悪化したりすると来院されました。
 飼主さんに「どこか痛がりますか?」と聞いても、
「どこを触ってもいたがりません」と答えが。
整形外科の病気は、触診で90%くらい病変が分かるとも言われています。
でも、飼主さんが痛い場所を特定できるのは、50%くらいでしょうか。

 早速、触診をさせて頂き、股関節に異常が見つかりました。
股関節のレントゲンを撮らせて頂くと、大腿骨頭の成長板部位での骨折が認められました。
 この場所での骨折は、猫でも起こる骨折で、手術での整復は可能ですが、
成長期の骨折では手術が上手くいっても、将来、関節炎を起こし、
再手術が必要になることも少なくありません。

 飼主さんと、手術を行うか、ケージレストと外固定を行い、
内科的に治す方法を選択するか相談しました。
 相談は、色々話し合い、ワンちゃんにとってどれが良いか数日かかりました。
結果、痛いことは1回だけにしたい、出来れば、再手術はしたくない、
また、歩けるようになれば良いというものでした。

 これらの結果から、大腿骨頭のピンを使用した手術ではなく、
大腿骨頭切除術を行うこととなりました。

 手術が決まると、術前検査を行い、当日は、朝ごはんを抜き、お水の制限もします。
手術前には、血管を確保し、点滴を始めます。
さらに、ペインマネージメントという、痛みのコントロールを行います。
抗生物質などを投与し、手術に入ります。

 手術前に、毛を刈り、麻酔を行った後に、消毒します。
さらに、手術部位の皮膚の細菌の購入を防ぐため、切開ドレープを張り
術部に毛や菌が混入しないようにしておき、皮膚を切開します。
 皮膚は約3~4cm切開し、筋膜、筋肉を剥離し、股関節にアプローチします。
この写真は、股関節にアプローチし、股関節を外転させ、骨折部位を確認しています。

 成長板骨折 術中1

 さらに、骨折部位を確認し、整復が出来ないと判断し、
大腿骨頭を切除します。
 切除は、サージタルソーといって、整形外科の特別な器具を使用すると
約10秒で切り離せます。
 数年前までは、この機械がなく、骨のみや、糸ノコで切除していました。
それにくらべ、早く、正確に、安全に手術が進める事が可能になっています。

 \成長板骨折 除去後
 切除後は、整形用のヤスリを使用し、角を落として、関節に負担がないようにしています。

 このあと、手術は、筋肉を元の状態に縫い合わせ、筋膜も元の状態に戻します。
さらに、皮下をきれいに戻し、皮膚を縫合します。

 切り取った大腿骨頭はこのように、骨折部位で変形を起こしています。

 骨頭

 術後は、綿や、包帯などでロバートジョーンズ包帯を行い、麻酔を覚まします。
手術時間は、40~50分程度で終了します。
入院は、1泊で済みますので、飼主さんも寂しいのは1日だけなので、
すこし、我慢していただきます。

手術し、切除した部分は、このように変形していました。
また、骨癒合も始まっており、整復は不可能でした。

 骨頭

 大腿骨の骨頭骨折は、ほとんどが整復可能ですが、
成長期の骨折は、変形し、癒合することが多く、年を取ってから
変形性関節症になることも少なくありません。
 今回も、病院側としては何とか、整復を考えましたが、
年を重ねた後、痛みや不具合が生じる可能性を飼主さんと考慮し
骨頭を切除することになりました。

 手術に踏み切るまで、何度と無く、飼主さんと相談を繰り返し、
最終的にこの方法をとりました。
 飼主さん、ワンちゃんにとって、最善の方法を考えていますが、
飼主さんの意向、考え方などを含め、治療法を選択するようにしています。

 手術を終え、飼主さんも安心されたようで、
「何かお聞きしたいことは?」とお尋ねしても、
「何もありませんよ。」とお答えいただくと、こちらも安心します。

 抜糸から、すぐに、リハビリがあるので、飼主さんも
ワンちゃんも忙しくなるので、つかの間の静かな時間を過ごしてくださいね。

 
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