新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の腎不全から緑内障を併発し眼球摘出
 猫の腎不全は7歳以上の猫の30~40%が罹患していると言われています。
腎不全になると、高血圧になることも知られています。
 この子も、以前から腎不全と診断し、治療を薦めていました。
しかし、腎不全の初期は飼主さんも症状が無いので、
気づいてあげることが出来ず、進行していることが少なくありません。
 ある日、飼主さんが、右目が赤いと来院されました。
超音波検査で、網膜剥離が確認されました。
猫の高血圧から網膜剥離が起こることは良くあります。
 この子も、高血圧からの網膜はく離で、飼主さんには
治ることは難しいとお伝えし、今後の方針をお話しました。
 治療の結果、眼の赤いのは治り、飼主さんも喜ばれ、治療は終了しました。

 また、飼主さんが、ビックリされて来院されました。
眼が閉じなくなり、涙が止まらないと、早速、診察すると
続発性の緑内障で、眼圧が51mmHgとかなり高眼圧になっていました。
正常の眼圧は10~20mmHgで、この子は眼圧が上がり、眼が閉じれなくなっていました。

猫の眼球摘出前

高眼圧の治療は、眼圧があがることにより、網膜や視神経に障害を誘発し
視覚がなくなることを予防するために行われます。
 点眼薬、内科療法、角膜穿刺などがあります。
この子は、内科療法、点眼薬を行いましたが、眼圧は戻らなく、
さらに、眼が閉じれないので、角膜にも障害が出てきました。
 網膜はく離で、視覚が障害されていること、角膜も障害があることから
レーザー治療、シリコンボール、薬液注入も選択に入りません。
 飼主さんには苦渋の選択をお願いいたしました。
それは、眼球摘出です。
本院では、現在、緑内障の治療にはシリコンボール、レーザー治療、薬液注入法で
問題なく、治癒していますが、この子の場合、視覚が傷害されていること、
角膜にも障害がることから、選択の余地はありませんでした。

手術は、高血圧の子なので、術前から点滴、静脈内注射などで、
心臓、腎臓の様子を見ながら、麻酔を始めます。
 手術中も血圧には気をつけながら、細心の注意を払いながら手術を行います。
手術自体は、難しい手術では無いので、可能な限り、出血に気をつけて
麻酔時間を少なくする努力を行い、無事、予想時間より早く、手術は終了しました。
 術後は、眼瞼縫合を行い、このようになります。

 猫の眼球摘出後

 術後は痛みをコントロールすること、また、血圧のコントロールのため
1泊入院となります。
 翌日の朝、手術を病院内でお待ちいただいた、飼主さんが来院され
無事、一緒に帰宅されました。

 手術後は、可能限り、自宅での治療を行い、1週間後に抜糸を行い、
今後は、もう片方の眼の緑内障の予防と、腎不全、高血圧の治療に専念していただきます。
 この子のように、高齢で、腎不全、心不全、高血圧のある子でも、
飼主さんと相談のうえ、手術も可能であることが少なくありません。

 しかし、麻酔・手術は完璧なものが無いのも事実です。
獣医師と飼主さんと納得の行くまでお話をし、決められることが大事なのでしょうね。
 
 まだまだ長生きしていただき、飼主さんが安心されて生活できるとよいですね。
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