FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

アイリッシュセッターの胃拡張捻転症候群のベルトループ胃腹壁固定術
 アイリッシュセッターのような胸の深い犬種の飼主さんには
『胃拡張捻転症候群』(GDV)の危険性があることをお伝えしています。
 しかし、飼主さんが気を付けていても発症することがあります。
この子も、食後に散歩に行かない、食事を数回に分けるなどの予防処置を
されていたようですが、発症されました。

 飼主さんに、お聞きすると2年前くらいにも同じ病気を発症し、近くの病院で
治したそうです。
その後、再発に気をつけていたようですが、前日の夜から吐きたそうで、
苦しい呼吸をしていたと、朝一番に紹介で来院されました。

 救急で診察させていただきました。
パンティングといって、呼吸が苦しそうで、下の色も悪く、すぐに
血液検査、レントゲン、静脈確保、輸液、ショックを抑える薬などを投与しました。
 検査の結果、やはり胃拡張捻転症候群(GDV)でした。

 沈静をかけ、横にするとこのようにお腹の部分が腫れているのが分かります。

 GDV 術前 横

 腹部レントゲンではこのように、お腹の中に大きなガスが溜まっています。

 GDV X-RAY

飼主さんに、病名を伝え、治療に関して、お話をしました。
ショックを起こさないようにすること、すぐに胃の拡張と捻転を改善すること、
脾臓などの他の臓器に障害が無いことを確認することをお伝えし、治療に入りました。

 治療は、来院後、すぐに沈静をかけ、食道チューブを挿入し、吸引機を使い、
胃の中のガスを抜いて、苦しいのを取ります。
このガス吸引で、胃の捻転が治る子が結構、います。
 なので、胃チューブを挿入し、呼吸が楽になり、一時的は治ったように
獣医師も飼主さんも思えますが、ほとんどの場合、一時的に治ったとしても
再発するのが胃拡張捻転症候群です。
再発率は80%以上という報告があります。

 例外なく、この子も再発され来院されました。
手術は可能な限り、早々にさせていただきました。
飼主さんにも手術に立ち会って頂き、手術を始めました。

 手術法は、何通りかあり、
1.チューブ胃造設術
2.切開胃腹壁固定術
3.ベルト・ループ胃腹壁固定術
4.肋骨周囲胃腹壁固定術
5.腹側正中胃腹壁固定術
6.これは本院で多く行われる 胃固定術の変法

 上記の手術法には一長一短があります。
本院でも、すべての手術法を行える状態にしていますが、
その子の状態、病態、年齢、発症からの時間など、色々と状況が変わる毎に
手術法を変えています。
 この子は、診断、手術時間まですぐだったので、飼主さんに立ち会っていただき、
開腹し、胃の状態、脾臓の状態を確認し、手術法を決めました。
手術法は、状態から3.ベルト・ループ胃腹壁固定術の変法を行いました。

 術中の写真はこのように、胃の一部を肋骨に巻きつける手術で
ベルト・ループ法よりもしっかりと固定できる変法を行いました。

 GDV 術中 1

 これは、胃の一部を肋骨を巻き込み、固定する変法です。
GDV  術中 2

 この子は手術後、2日で退院となりました。
手術は、本院でも上記の6通りある中で、その子にあった
もしくは、状況にあった手術法を行います。
 GDVは同じ病気でも、重症度、犬種、経過時間などにより
大きく異なります。
また、症例によっては脾臓摘出、胃の部分切除も同時に行うことが少なくありません。
 重症な子は、手術前に亡くなることも少なくないと報告されています。

 予防法は、早食いを抑制すること、食事回数を増やすこと、運動前のお食事を無くすこと、
などなど、胃が腫れた状態で運動など、胃が回転しそうな行動を抑制することが重要だといわれています。
 また、GDVは大型犬に多く発生するので、20kg以上のワンちゃんを飼っている方は
特に注意が必要でしょうね。

 この子も、再発だったので、飼主さんは気をつけていたようですが、再発しました。
初発のときに、手術までするのか、しないのか、また、手術法はどうするのか
獣医師と飼主さんと良く話をしないといけない疾患です。

 この子は、避妊もされていなかったので、将来、開腹手術をすることも考え、
手術方法も飼主さんと相談し、手術しました。
また、当初、話あっていた手術法とかわることもあるので、立会いになりました。

 抜糸後は、また暴れても捻転することはないので、飼主さんの心配は無くなったと思います。
元気に、遊んで、散歩もしてくださいね。
スポンサーサイト

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.