新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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10歳(高齢)のウサギの精巣腫瘍の外科手術
 ウサギさんの平均寿命は6歳とも13歳とも言われています。
長い、短い、飼主さんによって、考え方は色々あると思います。

 この子は10歳のウサギさんで、かなりの高齢です。
本院ではウサギに麻酔をかける際、6歳上は要注意と言っています。
人もウサギも年を取る毎に麻酔のリスクは上がります。
 特に、ウサギのようなエキゾチックの場合、術前検査を必ず行いますが、
呼吸器などの問題が見つかりにくいと言われています。

 この子の飼主さんは、とても愛情深い方で、
体を撫でているうちに、精巣(陰のう)が大きいことに気づかれ来院されました。
初診時には、このように、片方の陰のう(玉袋)が大きくなり、明らかに
おかしいことに気付きます。

ウサギの精巣腫瘍 術前

 飼主さんには、精巣の腫瘍の疑いが大きいこと、精巣の腫瘍には悪性の腫瘍があること、
悪性でも良性の腫瘍でも徐々に大きくなることなどをお伝えし、手術をするリスク、
しないリスクを相談しました。
 相談の結果、手術を前向きに検討したいとのことで、麻酔をかけれるかの術前検査を行いました。
術前検査には、レントゲン、血液検査、超音波検査などが含まれます。
検査の結果、10歳とは思えないくらいの良い結果がでました。
結果を飼主さんとお伝えし、再度、麻酔のリスクをお話し、手術は立ち会いで行うことになりました。

 手術は、血管を確保し、抗生剤、痛み止めなどを行い、吸入麻酔を使用し、
飼主さん立ち会いのもと、手術を始めました。
手術自体は難しくないので、時間は20分くらいで終了し、麻酔も安定していました。
術後は4時間ほど、入院点滴を行い、その日の夕方には退院となりました。
飼主さんによっては、1泊の入院を希望される方もいらっしゃいますが、
ウサギはストレスに弱い動物なので、術後、安定していれば、早々の退院をお勧めしています。
 この子の、飼主さんも手術をご覧になり、安心され、当日の退院を希望されました。
手術の翌日には食欲も戻り、下痢などのストレスなども無く、元気で飼主さんも喜ばれていました。

 切り取った、精巣は病理検査に出し、結果は『精細胞腫』(seminoma)と診断されました。
精細胞腫はいわゆる、悪性腫瘍の一種です。
悪性腫瘍は転移する怖い腫瘍です。
 結果として、手術して良かったということになりました。

 これが、正常な精巣と悪性腫瘍である精巣です。

ウサギの精巣腫瘍 術後

 このように、悪性腫瘍は、正常な精巣と比べ、大きくなっています。
病理の結果、今回の手術で完全に切り取れており、再発の可能性、転移の可能性も無いということでした。

 10歳のウサギに麻酔をかけるということは、かなりリスクを伴い、
事前に飼主さんと何度も相談し、出た結論でした。
 飼主さんも、かなり喜ばれており、もっと長生きして欲しいとおしゃっていました。

 犬や猫と同じように、ウサギも長生きになり、このような悪性腫瘍も診察する機会が多くなりました。
しかし、腫瘍は老齢の動物に多く発症することから、麻酔のリスクなどに関しても飼主さんと
お話、相談する機会が多くなると思います。
 
 腫瘍外科は、結果が全てですが、結果に到達するまでに、飼主さんと事前の検査を含め
しっかりとした、お話が必要と思われます。

 この子の飼主さんが、この子に関する、すべての結果、なども集めており、
今回の病理検査の切片も欲しいということで、病理センターにお願いし、
パラフィンという状態での腫瘍の一部を持って帰られました。

 これも愛情の一つなのでしょうね。
20歳くらいまで長生きして欲しいですね。
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