新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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免疫介在性溶血性貧血の輸血と脾臓摘出
 犬や猫に貧血があるのはご存知でしょうか。
人のように、貧血で来院される方は少なくないです。
貧血の原因は様々で、診断を出すまでには検査が必要なことも少なくないです。
 この子は、Mシュナウザーで、数日前から食欲不振で、
季節の変わり目かと思い、飼主さんは様子を見ていたようです。
しかし、今日になって全く食べないので、心配になり来院されました。
 診察室に入り、いつもの元気がないこと、また、舌の色が薄いのに気付きました。
さっそく、歯ぐきの色、お耳の中の色を見ると白くなっっており、
貧血の可能性を考え、血液検査を行い、同時に、レントゲンと超音波も行いました。
 検査の結果、『免疫介在性溶血性貧血(AIHHA/IMHA)』と診断されました。
この病気は、自分の体の中の赤血珠を自分の体が標的にし、壊す病気です。
原因は特定されていませんが、自分の免疫機構に障害が出て、発病するようです。
とくに、年齢、犬種に特徴はないですが、本院ではメス、Mダックス、Mシュナウザーが
多い傾向にあります。猫も来院されています。

 検査の結果を飼主さんにお話しをし、すぐに治療を開始しました。
免疫の病気なので、ステロイドなど、何種類かの免疫抑制剤を併用し
治療を行います。
 この子は、すぐに治療に反応し2日で退院されました。
その後、自宅で飲み薬で経過を見ていましたが、数日後、急に貧血が悪化し、
検査を行いました。
検査の結果、今までの免疫抑制剤では抑えきれないくらい、赤血珠の破壊が進んでいました。
 この結果を飼主さんと相談し、現在の状況、今後の治療方針などをお伝えし、
治療法を選択しました。
 まずは、免疫製剤の血管内投与、さらに、悪化した場合、輸血と治療方針が決定しました。
その後、病態は悪化し、輸血に至りました。
さらに、輸血だけでは赤血珠の破壊に歯止めが利かないので、
脾臓の切除も考え、飼主さんと相談しました。
脾臓の摘出はIMHAの際の、一つの治療手段ですが、本院では、そこまで行くことが少なく
免疫療法で改善しているため、珍しいケースです。
 脾臓を摘出するには、再性像といって、体が貧血に際し、再生しうようとしているかを確認し
再生像の無い子は脾臓の摘出には向きません。
 脾臓摘出には
 1.免疫抑制剤などの薬物に反応がない子。
 2.貧血の維持に高用量のステロイドが必要な場合。
すべてのIMHAの子に当てはまる手術ではないので、気をつけてください。

 この子は、手術をするにも貧血があり、すぐには出来なかったので
輸血を250ml行い、後日に、手術となりました。

 その際の術中写真です。

 IMHAの脾臓

このように、腫大した脾臓が見えます。

 現在、IMHAと診断され、治療されている犬猫が多くいます。
現在も特効薬はありません。
そこで、治療にあたっては飼主さんとしっかりと相談の上、
方向性をきめないといけない疾患です。

 本院では、早期の診断、それに伴う、早期の治療、
また難治性の場合は、色々な治療方針があるので、
その都度、飼主さんと相談し、治療を進めています。
 
 この子は、脾臓を摘出した、翌日に、ワンちゃん本人の強い希望もあり
帰宅となり、現在、免疫抑制剤を併用しながら頑張っています。
 輸血をしていただいた、ワンちゃんの飼主さんも、快く輸血をしてくださり、
本当に感謝しています。

 この子のように、輸血が出来ることで
手術を受けられる子もいるので、輸血に協力していただくとありがたいです。
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