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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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子猫の外傷性横隔膜ヘルニア、肋間裂開、皮下気腫の外科手術
 馬を飼育されているお家から
子猫の右胸が腫れて、元気なく、動かないと来院されました。
全身を見ると、右上腹部が腫れており、内出血が認められました。
レントゲンでも、皮下気腫、横隔膜ヘルニア、肋間筋肉の断裂などが
確認できました。

 P2020956_convert_20190226082908.jpg

 飼い主様にもご覧になっていただき、外傷性の障害であること、
手術が必要なことをお話しし、血液検査と超音波検査を行いました。
検査の結果、手術は耐えれそうだったので、翌日、手術のため
入院点滴を行いました。

 手術は、横隔膜ヘルニア、皮下気腫などを考え
人工呼吸器を使い、陽圧管理下で手術を始めました。
手術は、胸からお腹まで大きく切開しました。
お腹から、胸部を見ると、横隔膜に大きな穴が空いており、
お腹の臓器が肺、心膜に癒着を認めました。

 P2020959_convert_20190226083001.jpg

 まずは、横隔膜膜が裂け、お腹の臓器が胸に入り込んでいたので
ゆっくりと取り出します。
すでに癒着もあるので、電気メス、半導体レーザーを使って
肺、横隔膜から癒着を剥がします。
 裂けた横隔膜を正常に戻し、縫合します。
肋骨の筋肉が裂けて、皮下気腫になっていたので、
肋骨と筋肉を正常に戻し縫合しました。
 横隔膜ヘルニアの際、肺と胸郭に残った空気を
抜くため、ドレーンを装着しました。

P2020962_convert_20190226083043.jpg

 手術は横隔膜を切開しているので、人工呼吸器を使い
呼吸量と呼吸回数を調整し無事、手術は終了しました。
 術後は、念の為、ドレーンを陰圧にし
酸素室(動物用ICU)にて2日間入院していただきました。
手術翌日から、ICUの中でも食事をとり、お水も飲めるようになりました。
3日目は、一般病棟で入院をしていただき、4日目に無事退院となりました。

 農場の方々の励みと親身な対応で
今は元気に、過ごしています。
 今後は、馬に近づくときは
馬をびっくりさせないように。

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Mダックスの歯肉にできた悪性黒色腫
 Mダックスの歯肉にイボみたいなものができことに
気づかられる飼い主様がいます。
当院では、トリミング前の健康診断でもイボをトリマーさんが
見つけ、飼い主様に御報告することがあります。

 7歳以上の犬の歯肉にイボができる場合
多くが、良性のエプーリスです。
イボの中には悪性の腫瘍が見つかることがあります。
今回は、悪性の中でも黒色腫という、皮膚癌でよく知られている
腫瘍でした。
下顎の歯肉にポリープ状の腫瘍があります。

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 歯肉にできる腫瘍には下記のような報告(山口獣医学雑誌 (40), 31-35, 2013-12)
分類:炎症性疾患が59.8%
   腫瘍性疾患が35.6%(良性腫瘍18.4%,悪性腫瘍17.2%)

悪性腫瘍で一番多いのは、悪性黒色腫です。
悪性黒色腫は、多くな獣医師が論文を発表しています。
論文内容は、早期発見、早期治療、さらに、抗がん剤の効果を示しています。
 
 術前検査で、胸部レントゲン、血液検査を行い、
鎮静下にて病理検査を行いました。
病理の結果は、約1週間で報告されます。
結果は、悪性黒色腫でした。
飼い主さまと協議の上、下顎のレントゲンを撮影し、
下顎の吸収像を確認し、手術マージンを決定しました。
手術は、下顎を残し、可能な限り、腫瘍を大きく切除します。

 P2181010_convert_20190226084519.jpg

 手術後、2週間です。
どうしても、犬歯も抜歯したので、
下が出ていますが、個人差があるものの、
下が、外に出てしまいます。

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同時に、下顎リンパ節も切除し、病理に出します。
術後のことを考え、食べ物や、お水をこぼさないよう、
頬の皮膚を形成し、2日間の入院後、帰宅としました。

 手術後は、2〜3週間、お水をこぼしたり、
食べ物をこぼしたりしますが、多くの子が、上手に食べ飲みできます。

 この子は、早期発見、早期手術、マージンも大きく切除したので
転移もありませんでした。
同時に切除したリンパ節にも転移は認めらませんでした。

術後は、抗がん剤の投与も行わず
元気に過ごしています。
この子のように、健康診断、トリミングの時に
異常に気づけば早期に見つけrことができます。
 中高齢の口の中にできるイボは
3割強腫瘍で、その半分近くが悪性です。
可能な限り、病理検査を行うことをお勧めします。
 飼い主さまも、無事に手術が終わり、
再発、転移もないので、喜ばれていました。




   
ジャンガリアンハムスターの乳腺腫瘍の外科手術
 1歳以上のメスのジャンガリアンハムスターには乳腺腫瘍ができることがあります。
ジャンガリアンハムスターには腫瘍が多く、脇の下にできる腫瘍は
乳腺腫瘍が知られています。

 ハムスターの報告は、海外より日本国内での発表がされています。
下記に論文による報告を紹介します。
 ジャンガリアンハムスターにおいて最も多く認められた
外皮系腫瘍は、乳腺腫瘍、異型線維腫、乳頭腫。
自然発生した乳腺腫瘍12症例を形態学的に検索したところ、
単純腺腫、管状乳頭状腺癌、複合癌の3つのサブタイプであると報告されています。
(近藤、日大、2009より)

45例の乳腺腫瘍には、14個の腺腫、18個の腺癌、1個の脂肪癌、
2個の悪性腺上皮上皮腫、1個の良性混合腫瘍、および7 個のバルーン癌肉腫が含まれた。
(H.Yoshimukra.Veterinary Pathology 52(6) · May 2015より)

 このように、ハムスターの乳腺腫瘍は女性ホルモンに関連しており
自然に発症することが知られています。
乳腺腫瘍がガンが多いと言われる所以は、この報告からだと推測されます。

 この子は、近くの病院で診察を受け、手術が必要で
当院に手術を希望され来院されました。

 腫瘍は、左前肢の付け根に1cm大のシコリがありました。

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術前に病理検査を行いたいのですが、多くのハムスターが
検査を痛がり、嫌がるので、手術の最中に可能な場合、
術中に病理を行います。

 飼い主様に、麻酔の注意点、手術の注意点、術後の注意点などを
説明させていただき、手術を行うこととなりました。

 手術は、全身麻酔下にて行います。
麻酔薬は、セボフルレンという吸入麻酔を使用します。
多くの動物病院では、イソフルレンを使用しますが
麻酔のリスクや刺激性の副作用を考え、
当院では、エキゾチック動物の麻酔に関してはセボフルレンを使用しています。
 手術は、腹膜、筋肉、神経を傷つけないように注意を払い
半導体レーザー、電気メスを使用し、剥離切除を行いました。

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 手術は20分で終了し、麻酔からの覚醒は5分でした。
術後は、病院の中で待っていただいていた、飼い主様と
面会の上、夕方に帰宅となりました。

 術後、多くの子が
自ら抜糸を行いますので、抜糸処置はありません。
傷も綺麗に治っていきますので、ご安心ください。

ハムスターの皮膚の腫瘍は、発生当初、
皮膚の下にできたものか、皮膚にできたものかで
腫瘍の特性が異なります。

 食欲があり、元気であれば
手術の適応となることが多いので、
手術はしたくないと、お考えでも一度、
診察をお勧めします。

交通事故で血流障害になった猫の断脚術
 下記には病気の画像と手術画像が含まれます。

 外に出る猫ちゃんの、いちばんの問題が交通事故です。
外で飼育される猫ちゃんが減ったので、交通事故は年々
減っているように思えますが、農家さんや高齢の
飼い主様は、外に出て行くとのとおっしゃる方もいらっしゃいます。

 この子は、遠くまで行かないのですが、
外出中に事故に遭われ、数日後に帰宅されたそうです。
帰宅したのは良かったのですが、後肢の麻痺、排便排尿障害もありました。
近くの病院で診察を受け、骨盤骨折などを疑い当院に紹介されて来院されました。

 診断は、骨盤骨折、血流障害、大腸の破裂でした。
骨盤骨折と大腸の手術はすぐに行い、排尿も排便も可能になりました。
 血流障害はなんとか回復することを願って、経過を見ましたが
残念ながら、膝から下への血流の回復は見られず、膝から下が壊死していました。

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 飼い主様から、手術を希望され
股関節からの断脚、膝から下の断脚の短所と長所のお話を
何度もさせていただき、ご家族から、膝下での断脚に決定されました。

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 手術は、1時間で終了し、夕方には帰宅となりました。

 手術後は、翌日から3本の足で歩くようになり
排便も排尿も可能になりました。
 飼い主様も、熱心で、お金のかかる手術を希望され
こちらも、可能限り、手術代金や、入院費を削減させていただきました。
今は、いつもの状態に戻ったと飼い主様も喜ばれています。

4歳の多発性内分泌疾患を伴った、Mシュナウザーの粘液嚢腫の外科手術
 Mシュナウザーは、脂質代謝の異常の多い犬種として有名です。
7歳以上のシニアの子は、血液検査にて中性脂肪などの
脂質代謝の異常の子が多く来院されます。
 症状などがなく、飼い主様も元気だと思っています。
この子のように、若齢で肝臓の数値が高くなっている場合は要注意です。

この子は、多飲多尿などの症状とともに
ALP,GGTの胆管由来の生化学検査にも異常が認められました。
同時に、内分泌検査を行い、副腎機能亢進症(クッシング)、糖尿病にも罹患していました。
内科療法にて症状が改善し、元気に過ごしていましたが、
朝から、嘔吐して元気食欲がないと来院されました。
すぐに検査を行い、肝数値の上昇と、黄疸を認めました。
肝数値の上昇と黄疸の原因は、胆嚢粘液嚢腫が原因でした。

 胆嚢粘液嚢腫は、Mシュナウザー、シェルティー、Tプードル
などに多く認められる疾患です。
粘液嚢腫とは、粘液の分泌により内腔が拡張し、胆嚢壁が伸展した状態を示します。
ある報告では、クッシングの犬に、粘液嚢腫の発生頻度が約29倍高い。
しかし、クッシングのある犬の粘液嚢腫の手術には
血栓形成、最近観戦、治癒遅延などが発生しやすくなっている。

 飼い主様も、手術のことは理解していただき
すぐに手術を行いました。
 以前に胆嚢炎を起こしており、その際の炎症で胆嚢が横隔膜に癒着していました。
手術内容は、胆嚢切除、横隔膜との癒着、肝臓の政権を行います。

 手術は正中切開で行います。

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胆嚢と肝臓を剥離、横隔膜との癒着を剥がし、
癒着した部位の再縫合を行います。
総胆管と、十二指腸の通りを確認し、カテーテルを留置後
お腹を閉じました。
 
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 切除した胆嚢は、病理にて粘液嚢腫、
生検した肝臓は、胆管肝炎でした。
 手術後から、黄疸は改善し食欲も改善しました。
手術から3日後、退院となりました。
肝数値も良くなり、炎症も改善しました。
 手術から5日後にシャンプーを行い
10日後に抜糸を行いました。

 当初、飼い主様も内分泌疾患を持っていることから
心労もありましたが、手術の際も、立ち会っていただき
無事、終わった時には、どっと疲れが出たようでした。

 今は、元気に過ごしています。
Mシュナウザーが7歳くらいになれば、
元気でも、超音波検査を受けておくことをお勧めします。
肝臓は、沈黙の臓器なので注意が必要です。 

元気に、病院で吠えれるようになり
一安心です。

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