FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

Mダックスの副甲状腺腫の外科手術(低カルシウムの内科療法)
 定期検査にて高齢の犬で高カルシウム(Ca)血症の子がいます。
この子も、検査にて高Ca血症が見つかりました。
同時に検査センターで高Caに起因する副甲状腺(上皮小体)の検査を行いました。
検査結果は、問題ありませんでした。
多くの子が、ここで異常が出るのですが、なぜか
この子は、正常もしくは低く結果が出ました。
 念の為、超音波検査を行ったところ、
左側の副甲状腺の腫大を認めました。

_convert_20190607153128.jpg

 飼い主様と協議し、手術を行うこととなりました。
手術は、30〜40分くらいで終了します。
一般的には、当日か、1泊で帰宅可能です。
手術は、皮膚を切開し、血管と神経に気をつけ、腫瘍化している
副甲状腺を切除します。
こちらが、切除した副甲状腺です。

 P5141154_convert_20190608160234.jpg

 診断は、上皮小体腺腫
良性の腫瘍で予後は良好です。

 術後は、定期的なCa値を測定します。
ほとんどの子で2~10日以内でCa値が下がってきます。
この子は、4日目で低下してきました。
低下を確認と同時に内服を始めます。
内服が難しい状況であれば、入院、点滴を行いながら
静脈にCaを持続投与します。
この際、出来るだけ、心電図を装着し、不整脈を注意する必要があります。
 Ca値は7~9くらいを目標に安定化させます。

 退院後のCaは内服にて経過を見ます。
低Ca血症には、
1、活性型ビタミンD(アルファカルシドール)
2、カルシウム製剤(沈降炭酸カルシウム)

 この子も、術後、血中Ca値が低下したため、
入院を行い、ポンプを使い24時間管理のもと、
カルシウムを投与しました。

 現在は、内服の量を減量しながら経過を見ています。
副甲状腺の腫瘍は、血液検査で発見されることが多く、
神経症状、震えなどの症状のある、中高齢の犬と猫は
要注意です。
 
 飼い主様も安心されたようで、
手術も、退院も早く終了し、自宅で元気に過ごされています。
スポンサーサイト
耳に発症した肥満細胞腫の外科手術
 耳に腫瘍ができる場合、多くが耳道内に発症します。
この子は、耳の外側に腫瘍があり、出血し来院されました。

 14歳のテリアで、てんかんを持っている以外
大きな病気はありませんでした。
 耳のイボが大きくなり血が出たという主訴でした。

P5261181_convert_20190606113940.jpg


診察させていただくと、耳にイボがあり、引っかいたようで
その部位から出血を認めました。
飼い主様には腫瘍の可能性が高いこと、手術が必要なことを伝えました。
飼い主様も、状況を理解していただき、手術となりました。

 高齢の子なので、術前検査をしっかりと行い
手術の内容の確認の上、手術となりました。

 手術は、耳を半導体レーザー、超音波メス、電気メスを用い
出血を可能な限り抑えることと、手術時間を短くすることにしました。
手術は、ほぼ出血はなく、30分で終了し、カラーを装着後
夕方に退院となりました。

P5261184_convert_20190606114017.jpg
P5261190_convert_20190606114120.jpg

 術後は、自宅で経過を見ていただくことになりました。
腫瘍は病理検査を行い、診断は
『肥満細胞腫』高悪性度、patnaicⅡ型でした。

 現在、皮膚肥満細胞腫の診断には

1,病理組織学的:グレード分類
2,WHO分類:ステージ分類

 難しいことは、グレード分類、ステージ分類だけでは
予後の判断が難しいことです。

 当院では、リンパ節の転移、血中ヒスタミン濃度、脾臓への転移
遺伝子検査、病理(核分裂像)を予後判定に使用しています。

 肥満細胞腫は、診断は簡単な腫瘍ですが、
治療(切除後の判断)放射線療法、分子標的薬、ステロイドなど
どのような治療がベストか、明確な話が難しい腫瘍です。

 手術後の治療に関しては、
担当獣医師と資料を見ながら、決めていく必要があります。
 
犬の子宮蓄膿症の内科療法(外科手術を行わない方法)
 避妊をしていない中高齢の犬に
子宮蓄膿症という病気があります。
当院では、月に数頭ペースで来院されます。
 
 症状は、
陰部からオリモノがでる
多飲多尿
下痢(軟便)
食欲不振
嘔吐
など上記の症状で来院されます。

子宮蓄膿症の診断は、超音波検査で行います。
同時に、血液検査にて、腎不全、敗血症に陥っているかを診断します。
血液検査にて麻酔に影響がなければ、手術を行います。
中には、心臓病、腎臓病、敗血症などで麻酔がかけれない子もいます。

 今回、麻酔をかけれない子が来院したので
外科手術を行わず、治療する方法をご紹介します。

 この子は、心臓に腫瘍があり、麻酔をかけることは難しいと
判断し、内科療法になりました。

 使用する薬は『ALIZIN』ファイザー社 オーストラリア動物薬です。

 P1011174_convert_20190521101939.jpg

この薬は、アグレプリストン
効能:妊娠中絶薬、プロゲステロン受容体拮抗薬
効果:子宮内が黄体期から脱する
   細菌の増殖を抑制する
   プロジェステロン支配下の子宮頚管を弛緩させる
投与回数:開放性子宮蓄膿症:10mg/kg を1.2.7.14日
     閉鎖性子宮蓄膿症:6mg/kgを1, 2,3,4日 初日のみ1日2回投与

 外科手術は、卵巣子宮的手術を行います。
手術は簡単で、多くの場合、30〜40分で終了します。
 子宮の大きさは様々で、このように
子宮から膿が出ていると小さく。この子は15kgの北海道犬です。

 P5181161_convert_20190521102222.jpg

 この子は、13歳、8kgのMシュナウザー

 P5121148_convert_20190521102342.jpg

 どちらの手術も、ほぼ出血もなく
麻酔の覚醒もよく、2〜3日の入院後退院となります。

 アリジンは、オーストラリアで販売されており、
日本での購入は輸入になります。
 当院では可能な限り、在庫をしておりますが、
緊急の場合も、関連病院からすぐに届くため、
緊急の対応も行なっております。

 心臓病、腎臓病、脳疾患、貧血などの問題で
麻酔のリスクが高い場合、内科療法で経過を見るという
選択肢を考えても良いのではないでしょうか?


猫の肥大型心筋症による動脈血栓症の内科療法
 猫の心臓病の多くが心筋症です。
症状がなく、心雑音を軽度で、偶然見つかることがほとんどです。
当院でも、手術前検診、定期検診、呼吸器疾患の検査で
見つかります。

 この子は、心筋症の治療を行い、血栓の予防もしていました。
急に、両方の後肢が動かず、痛みを伴い来院されました。
心エコーでは、左心房の拡大が認められました。

New_Image_convert_20190325114925.jpg

診断は、心筋症から大動脈血栓塞栓症(ATE)
猫の当ては予後が悪く、生存、退院できる子は、
30~40%と報告されています。
退院後の生存期間は、117日(Smith 2006),184日(Atkins 1992)
と報告され、予後が悪いとされています。

ATEの治療法には、疼痛管理、心不全の管理、血栓形成の管理です。
この子は、すでに、心不全の管理、血栓の管理は行っていました。
呼吸の状態があるいこと、痛みがあることから
1、ICUでの入院
2、血管確保
3、痛みの管理(ブトルファノール、ブプレノルフィンの投与)
4、血栓溶解療法(組織プラスミノーゲンアクチベータ t-PA)
(低分子ヘパリン)

上記の流れになります。

この子は、開口呼吸、痛みを伴い、緊急を要する状況でしたので、
入院、点滴を行い、組織プラスミノーゲンアクチベータ(モンテプラーゼ:
商品名:クリアクター)の投与を開始しました。
同時に、鎮痛薬と、低分子ヘパリンの投与も行いました。
30分くらいで痛みがとれ、開口呼吸も治ってきました。
モンテプラーゼは、かなり高価で、40万単位で
5〜10万くらいします。

P3251078_convert_20190325114702.jpg

P3251079_convert_20190325114726.jpg

こちらの、モンテプラーゼを1日1回 3日連続で投与しました。
同時に、低分子ヘパリンも併用しています。
低分子ヘパリンは高価ではありませんが、
1日2回接種の必要性があります。
モンテプラーゼと低分子ヘパリンの併用が
論文では、効果があると報告されています。(Saida 2013)

 当院では、内科療法の場合、
このような流れと治療になります。
人の血栓症のように、発症時間との関連、
血栓溶解剤の効果など、まだまだ分からない部分が多くある猫のATEです。
 治療薬が高価なこと、急な発症などから
飼い主様も精神的に困惑すると思いますが、
可能な限り、ご説明を行い治療させていただいております。

 この子は、入院3日目で無事退院となり、
今は、少しづつ足が動くようになっています。


子猫の外傷性横隔膜ヘルニア、肋間裂開、皮下気腫の外科手術
 馬を飼育されているお家から
子猫の右胸が腫れて、元気なく、動かないと来院されました。
全身を見ると、右上腹部が腫れており、内出血が認められました。
レントゲンでも、皮下気腫、横隔膜ヘルニア、肋間筋肉の断裂などが
確認できました。

 P2020956_convert_20190226082908.jpg

 飼い主様にもご覧になっていただき、外傷性の障害であること、
手術が必要なことをお話しし、血液検査と超音波検査を行いました。
検査の結果、手術は耐えれそうだったので、翌日、手術のため
入院点滴を行いました。

 手術は、横隔膜ヘルニア、皮下気腫などを考え
人工呼吸器を使い、陽圧管理下で手術を始めました。
手術は、胸からお腹まで大きく切開しました。
お腹から、胸部を見ると、横隔膜に大きな穴が空いており、
お腹の臓器が肺、心膜に癒着を認めました。

 P2020959_convert_20190226083001.jpg

 まずは、横隔膜膜が裂け、お腹の臓器が胸に入り込んでいたので
ゆっくりと取り出します。
すでに癒着もあるので、電気メス、半導体レーザーを使って
肺、横隔膜から癒着を剥がします。
 裂けた横隔膜を正常に戻し、縫合します。
肋骨の筋肉が裂けて、皮下気腫になっていたので、
肋骨と筋肉を正常に戻し縫合しました。
 横隔膜ヘルニアの際、肺と胸郭に残った空気を
抜くため、ドレーンを装着しました。

P2020962_convert_20190226083043.jpg

 手術は横隔膜を切開しているので、人工呼吸器を使い
呼吸量と呼吸回数を調整し無事、手術は終了しました。
 術後は、念の為、ドレーンを陰圧にし
酸素室(動物用ICU)にて2日間入院していただきました。
手術翌日から、ICUの中でも食事をとり、お水も飲めるようになりました。
3日目は、一般病棟で入院をしていただき、4日目に無事退院となりました。

 農場の方々の励みと親身な対応で
今は元気に、過ごしています。
 今後は、馬に近づくときは
馬をびっくりさせないように。


copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.