FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

犬の巨大な子宮平滑筋腫の外科切除
 (注)下記には、血液、腫瘍などの画像が含まれています。
苦手な方は、画像を避けてお読みください。

 犬の子宮にも腫瘍が発生します。
良性の腫瘍の多くが平滑筋腫で、かなり大きくなってから
診断、治療される腫瘍です。
 
 この子は、不妊手術は受けておらず、
2ヶ月に1回、トリミングで来院され、
その都度、体重を測定していました。
 飼い主様がお腹が大きくなっていると心配で来院されました。
体重は以前と変わりませんが、背中の骨が触れるのに
体重が減っていないので、念のため検査を実施しました。

 腹部レントゲン、エコー検査では
お腹の中に、直径12cm大の腫瘍を認めました。
血液検査では、大きな異常はありませんでした。
念のため、病理検査とCTを行いました。

 病理検査では、平滑筋腫もしくは平滑筋肉腫と診断が出ました。

 外観は、このように大きなお腹です。

 PB181459_convert_20191125163930.jpg

 PB181460_convert_20191125164001.jpg

手術は、お腹を胸から骨盤部まで切開しました。
切開後は、癒着を確認し、脾臓、腸管などを避け
止血を繰り返しながら切除しました。
 切除には、1時間かかりましたが、
ほぼ出血もなく、無事切除できました。

 PB181461_convert_20191125164104.jpg

 手術後は、20分で覚醒し、その後は
痛み止めで寝てもらいました。
飼い主様も、かなり心配されていたので、
術後、すぐに面会にいらしてもらいました。
翌日からは、水も飲み、食事も開始しました。
退院は、手術から3日後になりました。

手術後は自宅にて元気に過ごし、病理検査の結果も
良性の平滑筋腫と診断が返ってきました。

 犬の平滑筋腫は良性の腫瘍で
大きな症状がないのが特徴です。
子宮や、犬の清掃の腫瘍は良性の場合、
大きくなる以外、飼い主様が気づくことは困難です。
特に子宮はお腹の中にある臓器なので、発見が遅れることが
多いとされています。

 初期に発見するには、体重と、肥満度の相違で見つかることもあります。
超音波検査では、簡単に見つかるので、避妊されていない中高齢の子は
定期的に超音波検査をお勧めしています。
スポンサーサイト



犬のエナメル上皮腫の外科手術
 犬の歯肉にイボ(腫瘍)ができることがあります。
多くはエプーリスといって、過形成であることがほとんどです。

 この子も、近くの病院でエプーリスと言われ
経過を見ていましたが、大きくなったので、来院されました。

PA031382_convert_20191008110218.jpg

 上顎の歯肉に歯を覆うように大きくなっていました。
念のため、一部を切除し病理検査を行いました。
病理結果は、エナメル上皮腫という良性の腫瘍でした。
エナメル上皮腫は、多くが良性の腫瘍で、
ごく稀に悪性であることが知られています。

 エナメル上皮種は、徐々に大きくなり
稀に、骨に浸潤し、手術時、顎骨も同時に切除することもあります。
この子は、骨への浸潤が無いので
歯肉のみ半導体レーザーで切除しました。
 
 腫瘍は念の為、再度、病理検査に提出しました。
結果は良性のエナメル上皮腫でマージンも完全でした。

 歯肉にできるエプーリスには3種類あり、
1、繊維性エプーリス
2、骨形成性エプーリス
3、棘細胞性エプーリス
に分類されます。
 今まではエプーリスは腫瘍では無いので、
骨に浸潤することは稀でしたが、
3、蕀細胞性では骨に浸潤します。
遠隔転移することは稀なので、
悪性の腫瘍ではなく、良性の腫瘍に分類されると言われています。
(岐阜大 博士論文 1999より一部抜粋)
 歯肉にできるイボの多くが非腫瘍性、良性が多いですが、
エナメル上皮腫、棘細胞性エプーリスの場合、早期に外科的な切除を
行うことが良いと思われます。

 歯肉のイボは、大きくなる前に、
病理検査を行うことを勧めています。
ゴールデンのエプーリスに関しては
腫瘍性のエプーリスが多いので、早期に病理検査をお勧めしています。
シープドッグの肛門周囲腺腫の外科手術
 去勢手術を行なっていない犬には
1、精巣腫瘍
2、会陰ヘルニア
3、肛門周囲腺腫
などの病気が去勢した犬に比べ、多発する傾向にあります。

 この子は、去勢手術を行なっていない
シープドッグの男の子、13歳でした。
 飼い主様は、他の病院で肛門の腫瘍と診断され、
年齢が高いから、手術が難しいと言われ経過を見ていました。
経過を見ていると、腫瘍が大きくなり、出血も起こり
どうにかできない?と心配され来院されました。

P8051304_convert_20191003094931.jpg

 腫瘍は、肛門周囲に4箇所あり、出血も認められました。
飼い主様も高齢での手術が危険と他の病院でも指摘され
かなり心配されていました。
当院での血液検査、レントゲン、心電図検査の結果
高齢でも手術が可能でした。

手術に先駆け、事前に疼痛管理と腫瘍の病理検査を行いました。
手術は腫瘍の切除、去勢を同時に行いました。

P8051305_convert_20191003095025.jpg

P8051309_convert_20191003095118.jpg

麻酔管理が一番重要なので、麻酔は、麻酔管理者の獣医師が付き
血圧、呼吸、心拍、血ガスなどの管理を行い、1時間で終了しました。
手術後は、当日の夕方に歩いて帰宅されました。
術後は、排便を数日しないこもいるのですが、
この子は、2日目に排便可能となり、排便障害もありませんでした。
抜糸は、10日後に行う予定でしたが、術後
本人が術部を舐めて、1週間延期となりました。

 肛門周囲の手術は、術後、痒いので本人が舐めることが多く
事前に予防策としてカラーをつけたり、オムツをしていただきます。
この子も、カラーを着けていましたが、カラーを外した隙に
舐めてしまったようです。

 術後は、抜糸まで術部を舐めないようにしていただき
可能なら、排便後、シャワーで洗浄することを勧めています。
今は、毎日排便が可能で、元気にしています。
 
 飼い主様はご自身の犬のお尻からの出血と
異臭もあり、心配されていました。
手術も高齢でできないと言われ、絶望していたと
今では、手術が終わり、心配もなくなり
飼い主様もお元気になられました。

 
ダックスの耳道内にできた腺癌の外科手術
 犬の耳が急に臭くなったり、汚れたりした際は
外耳炎になっています。
中には、悪性の腫瘍が原因の場合があります。
 この子は、高齢になり、急に耳がただれ、臭くなり、耳を振っていました。
トリマーさんに指摘され紹介され来院しました。

 耳は、ただれと、臭いが重症で
飼い主様も心配されていました。

P8161320_convert_20190924094909.jpg

 このように、炎症と感染が併発していました。
耳鏡で確認すると、垂直耳道にイボが確認できました。
飼い主様に、モニターでイボの確認していただき、
同時に感受性試験も行いました。
 飼い主様から、今まで外耳炎になったことがない、
皮膚炎にもなったことがないなどの稟告から、腫瘍による
問題が強く疑われました。

 飼い主様の希望で、イボの病理検査を行いました。
病理検査の結果は、悪性の腫瘍である腺癌と診断されました。
 耳の腺癌は耳に発生する悪性腫瘍の中で一番発生が多い腫瘍です。
腺癌は耳の腫瘍の30%を占めており、3頭に1頭は悪性腫瘍と言われています。

 文献によると
犬 19 例中 17 例は病理組織学的に診断され、
12 例(71%)が良性で、5 例(29%)が耳垢腺癌
(3 例は非浸潤癌、2 例は浸 潤性不明)であった。

犬 19 例は外側耳道切除術(LECR)を中心とする保存的手術で治療し、
水平耳道の耳垢腺癌の 1 例(LECR・ 切除生検後の 1.5 ヶ月後に再発)を除き、
術後の再発がみられた症例はなかった。
(Jpn. J. Vet. Anesth. Surg. 47(4): 59–64, 2016.から転載)

 手術は、全身麻酔下にて行われます。
基本、日帰りになりますが、水平耳道などに発生した腫瘍は
1泊になることもあります。
 
 この子は、腫瘍の手術と歯石の除去も同時に行いましたが
日帰りになりました。
 手術は、腫瘍の発生部位により異なりますが、
耳道の皮膚も切除を行いました。
出血量も少なく、この子は、神経障害もまったくでませんでした。
腫瘍は、悪性の腺癌だったので、マージンを大きく切除しました。

 P8161323_convert_20190924095003.jpg

切除後は、10日くらいカラーをつけていただきました。
10日後に抜糸も行いました。
 病理の結果から切除した腫瘍は、
マージンも含め完全に切除できていました。

 P8161327_convert_20190924095041.jpg

 P8161331_convert_20190924095134.jpg

 耳の腺癌は、早期の発見ができれば
ほとんが、完全に切除でき、転移も認められません。
 この子も、早期に切除が可能だったので、
手術後の化学療法などもなく、元気にしています。

 早期に耳の腫瘍を見つけるには
耳鏡や、オトスコープが必要になります。
当院では、早期にオトスコープを使用し、
腫瘍、異物、炎症の鑑別を行うようにしています。

 中高齢になり、耳だれ、炎症、痒みが多い場合は
腫瘍を疑っておくことも大切なのかもしれません。
この子は、手術後、耳だれ、臭いなどは全く無くなりました。
再発の可能性も低いので、飼い主様も安心されていました。
Fブルの陰嚢(金玉袋)にできた腫瘍(肥満細胞腫)
肥満細胞腫は、全身のあらゆる部分に発生します。
飼い主様が一番初めに」気づかれるのは、皮膚の肥満細胞腫です。

陰嚢(オスの玉袋)の皮膚に肥満細胞腫が発生することは有名です。
多くの飼い主様が、年のせいにしてしまいがちですが、
この子は、以前、肥満細胞腫のことをお話ししていたので、
心配で、皮膚の診察と一緒に来院されました。
 皮膚には、小さなしこりがあり、
皮膚病とは明らかに異なる状態でした。
飼い主様に同意を得て、組織検査を行いました。
病理の結果は、肥満細胞腫(グレード2、中等度悪性)でした。
 念の為、脾臓のエコー検査、血中ヒスタミン濃度を検査しました。
検査の結果、脾臓への転移像、ヒスタミン濃度は正常でした。
こちらが、陰嚢にできた肥満細胞腫です。

P8231340_convert_20190906173218.jpg

 それが腫瘍なのか、わかりづらいと思います。
手術は、全身麻酔下にて、陰嚢全摘出術、去勢、スケーリングも同時に行いました。
手術は、すべて含めて30分で終了しました。
術後は、3時間後に退院となり、半日入院でした。
切除した腫瘍と陰嚢は、病理に提出しました。

P8231343_convert_20190906173253.jpg

手術直後の縫合部は、このようになっています。
ちょっと、痛々しいですが、鎮痛剤と止血剤で
帰宅後には、食事も食べれるようになっていました。

P8231344_convert_20190906173325.jpg

 陰嚢の肥満細胞腫は、中高齢のパグ、Fブルに多いので、
定期的に、皮膚の状態を見ておくことをお勧めします。
犬の陰嚢、包皮にできる腫瘍の多くが肥満細胞腫です。
肥満細胞腫は、初期でれば完全切除で完治が目指せる腫瘍です。
気になる場合は、早めの検査を心がけておくと良いでしょう。



copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.