新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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猫のラプロス:慢性腎臓病薬(ベラプロストナトリウム)の治療効果
 猫の慢性腎不全は、5歳以上の死亡原因の1位で
10歳上の猫の30〜40%が罹患しています。
(Sparkes et al.J Feline Med Surg.18(3)219-239.2016)

根治は難しく、進行の予防や保存的治療が一般的です。
日本国内で、猫の腎不全治療薬として認可を受けた
ベラプロストナトリウムの効果を検討されています。
今までは、ラットの投与実験からなので、参考にできませんでしたが
今回、猫の症例報告が発表されたので、そちらを参考にします。
(Toyama et al J Vet Intern Med ,32(1)236-248.2016)

P4050470_convert_20180406163215.jpg


多施設で31頭に薬剤投与した結果

 ベラプロストナトリウムを投与した群は
・ BUN,CREAは有意な変動は認められなかった。
・血清リン/カルシウム比は有意な変動は認められなかった。
・食欲が増加し、体重が増加した。

 上記から、ベラプロストナトリウムは猫の腎不全に有効であることは
証明できましたが、今までの薬である
ベナゼプリルや、ARBのような薬よりも効果があるとは言い難いようです。
今後、他の薬との比較、相乗作用などが検討されるまで
第一選択になるかは判断が難しいと思われます。
 
 ベラプロストナトリウムは、食欲増進作用があるので、
食欲が落ちてきた子に、今までの薬に変えることは
有用かもしれません。
 当院でも、食欲不振の腎不全の子には、
ベラプロストナトリウムを処方しています。

 猫の腎不全の食欲不振には、
ミルタザピンや、オンダンセトロンなどのお薬でも
改善することは知れているので、
今ままでの薬を変えることが心配な飼い主さまは
上記のお薬を追加することをお勧めします。

 猫の慢性腎不全は治癒することが難しい疾患なので
飼い主さまも辛いと思いますが、様々な治療法が
あるので、担当獣医師とよく話し合ってください。

 きっと、飼い主さまに合う治療法が見つかると思います。
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フェレットの皮膚 基底細胞腫の外科手術
 フェレットも中高齢になると皮膚にイボが出来てきます。

 この子は、4歳になり、背中にイボが2箇所あり
心配で来院されました。

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 イボは2箇所あり、飼主様の意向で
抗生剤で経過を見ましたが、イボが小さくならないので
病理検査を行うこととなりました。
 病理検査は、その子によりますが
生検だと、鎮静もしくは、局所麻酔を行います。
 フェレットは、嫌がる子が多いので、
鎮静をかけさせていただき、検査を行うことが多いです。
 検査は、数分で終わります。
病理結果は1週間くらいで、診断が出ます。

 病理診断は、基底細胞腫でした。
基底細胞腫は犬で多く診断される良性の腫瘍です。
フェレットの場合も悪性はほとんどなく、
良性の腫瘍です。

 飼主様と相談し、手術を行うこととなりました。
手術は、半日入院で行われ、術後10日くらいで抜糸となります。

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こちらは、イタリアで2016年に発表された論文です。
腫瘍できた896頭の中の皮膚にできた腫瘍の分類です。
国内では基底細胞腫は多いと言われていましたが、
肥満細胞腫がだんとつに多く、基底細胞腫は発生が少ないようです。
アメリカの論文でも、基底細胞腫は少なく、肥満細胞腫が多いようです。

Table 1
tissue distribution and specific diagnosis of tumors in ferrets
Skin and subcutis
Mastocytic Mast cell tumor 68
Sebaceous Sebaceous epithelioma 22
Sebaceous adenoma 16
Apocrine Apocrine adenocarcinoma 10
Apocrine adenoma 8
Squamous Squamous cell carcinoma 9
Vascular Hemangioma 8
Angiosarcoma 1
Other Fibroma 3
Leiomyoma 3
Basal cell carcinoma 2
Trichoblastoma 2
Leiomyosarcoma 1
Rhabdomyosarcoma 1
Infundibular keratinizing acanthoma 1
Lipoma 1
引用文献
Neoplastic diseases in the domestic ferret
(Mustela putorius furo) in Italy: classification and tissue distribution of 856 cases (2000–2010)

 このように、フェレットの皮膚にできた腫瘍は良性が多いと言われているのは
国内だけか、国内の論文発表が少ないかは不明です。
 フェレットの皮膚にできた腫瘍は可能な限り、病理検査を行った方が良いでしょう。

 この子も、術前に、病理検査を行い、
良性という診断のもと、手術を行いました。

 フェレットの皮膚にできた腫瘍は念のため検査を行うことを
お勧めしますが、経過を見てからという選択肢もありますので
担当獣医師とご相談の上、治療法をお決めください。
健康診断で発見されたMダックスの血管肉腫の外科手術
 
 下記には、手術画像が含まれております。

 中高齢の犬と猫は毎年に1回、行っている子が多くいらっしゃいます。
この子も、毎年、春と冬に健康診断をされていました。
今回も、元気だけど歳をとってきたので、血液検査、レントゲン
尿検査、検便、超音波検査を行いました。

 超音波検査以外は、後日、結果をお知らせしますが
超音波検査は飼い主様の立会いのもと行っています。

 心臓の検査が終わり、お腹の検査を行いました。
お腹は、肝臓、胆嚢、胃、十二指腸、小腸、脾臓、腎臓、副腎、など
順を追って診察します。
 心臓の弁膜症が見つかり、脾臓のエコーを見た際、
明らかに腫瘍と思われる画像を確認しました。
 脾臓は、エコー像で血腫、腫瘍の鑑別が可能です。
この子は画像上、腫瘍性で、悪性を疑う所見でした。

 脾臓の腫瘍は、事前に針生検で病理検査を行うか、
行わないかは、各獣医師によって、意見が異なります。
 最近の傾向は、針生検を行うことにより
腫瘍の被膜を検査の針やトゥルーカットで壊し
腫瘍細胞を腹腔内に播種させる危険性が高いことから
実施しない病院が多くなっています。
 どうしても、行いたい場合は、CTなどを用いるか
造影超音波検査を行う場合もあります。

 海外の論文では、脾臓の腫瘍は50%が悪性腫瘍で、その中の50%が
血管肉腫と言われていました。
しかし、偶発的に見つかった脾臓の腫瘍は
良性腫瘍が70%で、30%が悪性腫瘍となっています。
さらに、血管肉腫は全体の20%以下であると言われています。
2016,2017年の報告では、小型犬と大型犬の発生率に顕著な差は認められませんでした。
(Shwewood et al.J Am Anim Hosp Assoc.52 220-226.2016
Corbin et al.J Am Vet Med 1148-1154. 2017)

健康診断にて脾臓に腫瘍を認め、
すぐに手術を行うこととなりました。
 脾臓の手術の前には、生化学検査、凝固系の検査、
心臓の超音波検査、レントゲン検査が必要です。
 検査の結果、手術を問題なく行えることを確認し
手術となりました。

 手術は約1時間で終了します。
当院では、半導体レーザー、超音波メスを
利用するため、出血をさせず行えます。
 手術時間が短いため、術後もすぐに覚醒し
2日後に、退院となりました。

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 脾臓の腫瘍は、一部、大網に癒着していました。
大きさは、やや大きいくらいで、被膜に包まれたまま
切除が可能で、播種もなく終わりましました。

P3110424_convert_20180324175636.jpg

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 手術後は、食欲もあり、元気にしていました。
血管肉腫の治療法は、外科切除後に内科療法を行うのが理想です。

 この子は、ステージ1のため、
抗がん剤を併用しています。

 脾臓の血管肉腫の内科療法には
いくつかの方法があり、飼主さまの
要望に添える治療法を一緒に考えています。

 脾臓の腫瘍は、健康診断などの際、
超音波検査で見つかる場合、
血液検査で、やや貧血になっている場合に見つかります。

 この子のように、ステージ1で見つかることは
年に数回、あります。
 脾臓の検査は、簡便で
かつ痛みをともなわない検査です。

 お時間があれば、
担当獣医師に相談してみてください。




腎臓病の尿タンパク・クレアチニン比(重症度評価)
 犬と猫の腎臓病は多く、
特に7歳以上の子に多く発症しています。
猫に関しては、寿命が延びていますが、
死亡原因の1位、2位の疾患と言われています。

 腎不全は、早期発見早期治療と言われています。
早期発見には、血液検査、尿検査、超音波検査が有用です。

 その中でも、尿検査が重要です。
尿検査では、特に尿タンパクの出現を精査します。
 今までは、尿タンパクのみ計測していましたが、
定量的にタンパク尿を評価する方法として、
尿タンパク:クレアチニン比(UPC)を測定します。

 UPCは、IRISのガイドラインでは最も、正確にタンパク尿を
測定できる方法としています。
 UPCの測定は、現在の獣医療で正確に
タンパク尿を測定できる方法ですが、今まで
検査センターなどの外注検査を行っていました。
 最近、動物用の検査機器が発売され、
簡易に院内検査が可能になりました。

 当院では、通常の尿検査を行い、
尿タンパクが2+以上の個体には
再検査とともに、こちらの機器で
UPCを測定しています。
 
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 猫の慢性腎不全の症例では
UPCの上昇が腎不全の悪化や予後と
関連しているため、必ず通常検査でも行う必要があります。

 尿タンパク:クレアチニン比の評価基準
http://www.idexx.co.jp/pdf/ja_jp/smallanimal/reference-laboratories/JP-SAH-RL-SDMA-IRIS-cat.pdf

 犬 猫 備考
<0.2     <0.2       蛋白尿なし
0.2-0.5 0.2-0.4     ボーダーライン
>0.5 >0.4        蛋白尿

このように、今までは血液検査を中心に腎不全の治療を進めてきましたが
腎不全の予後には、尿タンパク、特にUPCの方が重要であることが
理解していただければ幸いです。

 唯一の問題が、
尿を採取できないと、検査ができないところです。

 腎不全が心配、腎不全を患っている子には
初めからUPCの検査をお勧めします。
猫の腎不全用サプリメント
 腎不全と診断された場合、多くの病院で
食事療法、血管拡張剤などを勧めらます。
中には、輸液療法やサプリメントも勧められることがあります。

猫の腎不全の治療には、
・脱水・・・・・・・・・・・・・・・・・水分補給、点滴
・高血圧症・・・・・・・・・・・・・ACE,ARB,カルシウムチャネル拮抗薬
・タンパク尿・・・・・・・・・・・・低タンパク食、ACE,ARB
・尿毒症・・・・・・・・・・・・・・・腎臓保護薬、制吐剤、低タンパク食など
・リン・カルシウム異常・・・・リン吸着剤、低リン食
・代謝性アシドーシス・・・・・クエン酸カリウム

 上記のように、腎臓病と言っても各腎臓病の病態によって
治療を変えています。
この中で、サプリメントは高リン血症の治療にサプリメントが用いられます。

 当院では、猫のサプリメントとして、
4種類、提案しています。

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 カリナール:炭酸カルシウム(ご飯に混ぜる)
 イバキチン:炭酸カルシウム、キトサン(ご飯に混ぜる)
 レンジアレン:塩化第二鉄(ご飯に混ぜる)
 ネフガード:活性炭

 ネフガード以外は、食事中に含有しているリンを吸着し
便に排出するサプリメントです。
ネフガードは、人のクレメジンと似通ったサプリメントです。
犬猫の腎不全にクレメジンの有用性を示す報告クレアチニンの上昇抑制
臨床症状の改善したいという口頭発表がなされています。

 カリナール、イバキチンは炭酸カルシウム製剤なので、
便秘になること、血中カルシウム濃度が上昇することが知られています。
 
レンンジアレンアは、塩化第二鉄で強いリン吸着作用があります。
副作用は多く使うと下痢になることがあります。

 これ以外には、水酸化カルシウムもあります。
こちらは、人の方でも使用されていますが、
動物用はまだ、発売されていません。

 腎不全の治療には、様々な方法があります。
今、自分の猫、犬にあった治療法を確認し、
治療を行うことをお勧めします。

 腎不全は、悪化してからでは
後悔する病気です。
 担当獣医師と相談の上、
より良い医療をお受けください。

 

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