FC2ブログ
新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 50歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
北海道小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山
   クロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   カヤック
   

 

 

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

猫の尻尾の骨折の外科手術
 猫の尻尾を扉に挟み
骨折して来院されることがあります。

 この子も、飼い主様が猫が近くにいるのに気づかず
扉を閉めて、尻尾が変な方向に向いていると来院されました。

 P5311711_convert_20200703165113.jpg

 猫本人は、とても元気にしており、痛そうにしていませんでした。
すぐに、レントゲンを撮影し、尻尾の骨折を確認しました。

 飼い主様に、骨折の状態が重度で、神経の損傷もあることから
断尾の説明をさせていただき、同意を得て、手術を行いました。

 手術は翌日に行いました。
全身麻酔下にて、約20分で終了しました。

 P5311714_convert_20200703165302.jpg

年に数回、子猫の尻尾の骨折が来院されます。
多くが、扉で挟んでしまったという事故です。

 事故を未然に防ぐには、
子猫に、鈴などの音が出るものを着ける。
もしくは、扉などの閉まるものは開けておくなど
大人の猫になるまでは、十二分に気をつけてください。

 尻尾が短くなっても
本人は全く、気にせず元気に走っているようです。
スポンサーサイト



特発制てんかんの治療(国際的な見解)
 犬の特発性てんかんの治療には
国際的な基準が設けられました。

犬のてんかんの分類は
1、特発制てんかん
2、構造的てんかん

 定義はIVETFによると
24時間以上あけて少なくとも2回以上の非誘発性てんかん発作を
有する場合とされています。

メカニズムは3通りであると言われています。
1、神経細胞の抑制機能の異常
2、過剰な神経細胞の興奮制
3、1と2の複合的な異常

治療:下記にACVIMの原著を掲載しておきます。


Table 1. ACVIM panel recommendations of AED use, monitoring, and risk profile
Drug Monotherapy recommendation Monitor drug levels Risks Add‐on AED recommendation
Types
Level Grade 1 2 3 4 Level Grade
Phenobarbital I A Y Y Y Y N IV B
Bromide I B Y Y Y Y N II B
Primidone II D Y Y Y Y N II D
Imepitoin I A N Y N N N III C
Levetiracetam IV C N Y N N N Ib B
Zonisamide III C Y Y Y N N III B

 日本語訳
           推奨レベル エビデンスレベル
フェノバルビタール    A 1
臭化K B 1
プリミドン D 2
イメビトイン A 1
ゾニサミド C 3
レペチラセタム C 4

 推奨レベルは、A:高い,効果的 B:中程度、おそらく効果的 C:低い、効果的でない可能性あり D:推奨されない
 エビデンスレベル:治療効果に対する学術論文など 1はレベルが高い 4は低い(発表などが少ない)

 日本での治療薬は、フェノバルビタールとゾニサミドが多数を占めていると思われます。
当院でも、上記の2種にしていましたが、海外では推奨レベルAのイメビトインがあります。
こちらが、イメビトインです。

P4031640_convert_20200703100404.jpg

フェノバルビタールと同様に、推奨レベルA エビデンスレベル 1と高く評価されています。
しかし、日本での発売はされておらず、手に入れるのが困難な薬です。

 最近、飼い主様の中にはこの薬が良いのですが・・・とおっしゃる方も
来院されています。
 
 当院では、海外から獣医向けの業者を通じ
輸入していただき、飼い主様にお出ししています。

 イメビトインの治療に関して、飼い主様から副作用の話がなく
海外と同様に、効果があり、副作用の少ない治療薬であることを
認識しています。

 てんかんをお持ちのワンちゃんの飼い主様に
もう一つ、治療の選択が増えたことは朗報です。
 ご不明な点がございましたら、スタッフまで
ご相談ください。
ダックスの下顎に発生したメラノーマの再手術
 犬の口の中に腫瘍が発生することがあります。
この子も、口臭が気になるということで、来院されました。
飼い主様は、歯石がひどくなったと思っていました。
お口を開けてみると、下顎に腫瘍が発生していました。
 飼い主様に検査をお願いし、病理検査を行いました。
病理結果は悪性黒色腫と診断されました。
腫瘍は下顎の骨と付属リンパ節の切除を行いました。

 手術後、病理では、マージン領域問題なし、
リンパ節の2箇所に問題なしという診断でした。
 手術後、1年が経ち、13ヶ月後に同じ場所が腫れてきたと来院されました。

再発を疑い、針生検(病理)を行いました。
診断は、メラノーマの再発でした。

 飼い主様は、再手術はしたいが、飼い主様の都合で経過をみることになりました。
診察から3週間後に大きくなり、食欲が落ちてきたと来院されました。
 診察させていただくと、3週間前から倍以上に大きくなり
皮膚が裂開し、漿液が出てきていました。

 P4041643_convert_20200608082704.jpg

飼い主様には、手術を行うようお勧めし、大学でCTも撮影しました。
大学での検査では、手術を行うと顔面神経の損傷、動脈の切断を伴い
術後の合併症があると説明されたようです。

 飼い主様と協議の上、
当院での手術を希望されました。
手術は、顔面神経、顔面静脈を避けながら手術を行いました。
腫瘍は気管を圧迫するくらい大きくなっていました。
手術は3時間近くかかりましたが、翌日からは神経麻痺もなく
食欲も出ていました。
切除した腫瘍は、かなり巨大になっていました。

 P4071657_convert_20200608083035.jpg

 2日後に無事退院となりました。
術後は元気が戻り、食欲もあり、飼い主様も喜ばれていました。
口腔内のメラノーマは悪性が多く、手術時に転移が無くても
細胞レベルでの転移があることから、病理検査で転移がないという診断でも
定期的な診察が必要です。

 この子は、再手術にも耐えてくれて
飼い主様も喜ばれていました。
初めての大学での手術にも耐え、その後の放射線療法にも耐え
飼い主様、ワンちゃん 家族みんなで頑張っています。
目の下から出血した歯槽膿漏のダックス
 15歳のMダックスが目の下から血が出ていると来院されました。
近くの病院で治療をしていたそうですが、目の下から血が出たので
びっくりして来院されました。

 P4121666_convert_20200519104545.jpg

 目の下の頬の皮膚が裂けて出血していました。
診断は奥歯の歯周病による歯根膿瘍でした。

 歯根膿瘍は、歯周病が重度になり
歯槽膿漏になり、歯根が腐り化膿します。
歯根にできた膿は、行き場がなくなり、
皮膚に穴を開けて頬から血とともに排出されます。

治療は、残念ながら腐った歯を抜くしかありません。
抗生剤の内服で改善はするものの、完治はせず、
再発を繰り返してしまいます。

麻酔が可能なら、麻酔下にて他の歯も重度の歯周病になっているので、
スケーリングを行います。

この子は、他の病院で腎不全と診断され
麻酔が難しいと言われており、飼い主様も
気にはなっていたものの、麻酔で死ぬかもと言われ
不安で困っていたようです。

当院でも、腎不全、心不全が見つかりましたが
麻酔、手術は可能と判断し、手術を行わせていただきました。

手術は30分で終了し、半日入院で、夕方には退院としました。
飼い主様も、ずっと悩んでいた歯周病が改善し、
口臭もなくなり、喜ばれていました。

最新の麻酔機器を用いることにより
今まで以上の治療が可能となっています。
数年、悩んでいたことが半日でなくなりました。
よかった。

永久気管開口術に気管カニューレを装着したボーダーコリー
 首に腫瘍ができ、近くの病院を受診されました。
その病院では手術が難しく、大学病院に転院されました。
頸部の腫瘍が大きく、完全切除が難しく、腫瘍が
気管を圧迫しているので、永久気管開口術を行いました。

 術後は、呼吸も楽になり、良かったのですが、
徐々に、開口部が狭くなりました。
気管が狭い状態はこのようになっています。

P3271633_convert_20200330101139.jpg

近くの病院で、皮膚を引っ張る処置を行いました。
しかし、分泌液の増加に伴い、呼吸が苦しくなったので
当院に来院されました。

 手術した気管開口部は狭くなっており
再手術かを行うか、気管カニューレで
大きくするかご相談しました。
飼い主様は、再手術がかわいそうということで、
気管カニューレを挿入することを望まれました。

 気管カニューレは、犬用がないため、
人のカニューレを装着します。
この子は、すでに、手術にて開口していたので、
鎮静をかけて、挿管しました。
挿管した状態です。

P3271636_convert_20200330101225.jpg

カニューレは、分泌物で汚れるため、飼い主様自身で取り外しし
洗浄ができるようにしてあります。
気管カニューレは、メーカー、サイズなど
多くのものが発売されています。

P3271639_convert_20200330101051.jpg


 気管カニューレを装着後は、呼吸も楽になり
飼い主様も夜寝れないと、おっしゃっていましたが
よく眠れたと、安心されていました。

 今後は、自宅での洗浄、分泌物の除去などを行っていただきます。

 気管切開、気管開口術、気管カニューレなどの設置などは
専門的な知識が必要なため、外科専門医、循環器専門医
当院の獣医師、スタッフにご相談ください。


 

copyright 2005-2007 新千歳動物病院のブログ all rights reserved. powered by FC2ブログ. designed by sherrydays.