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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

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犬のエナメル上皮腫の外科手術
 犬の歯肉にイボ(腫瘍)ができることがあります。
多くはエプーリスといって、過形成であることがほとんどです。

 この子も、近くの病院でエプーリスと言われ
経過を見ていましたが、大きくなったので、来院されました。

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 上顎の歯肉に歯を覆うように大きくなっていました。
念のため、一部を切除し病理検査を行いました。
病理結果は、エナメル上皮腫という良性の腫瘍でした。
エナメル上皮腫は、多くが良性の腫瘍で、
ごく稀に悪性であることが知られています。

 エナメル上皮種は、徐々に大きくなり
稀に、骨に浸潤し、手術時、顎骨も同時に切除することもあります。
この子は、骨への浸潤が無いので
歯肉のみ半導体レーザーで切除しました。
 
 腫瘍は念の為、再度、病理検査に提出しました。
結果は良性のエナメル上皮腫でマージンも完全でした。

 歯肉にできるエプーリスには3種類あり、
1、繊維性エプーリス
2、骨形成性エプーリス
3、棘細胞性エプーリス
に分類されます。
 今まではエプーリスは腫瘍では無いので、
骨に浸潤することは稀でしたが、
3、蕀細胞性では骨に浸潤します。
遠隔転移することは稀なので、
悪性の腫瘍ではなく、良性の腫瘍に分類されると言われています。
(岐阜大 博士論文 1999より一部抜粋)
 歯肉にできるイボの多くが非腫瘍性、良性が多いですが、
エナメル上皮腫、棘細胞性エプーリスの場合、早期に外科的な切除を
行うことが良いと思われます。

 歯肉のイボは、大きくなる前に、
病理検査を行うことを勧めています。
ゴールデンのエプーリスに関しては
腫瘍性のエプーリスが多いので、早期に病理検査をお勧めしています。
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ラブラドールの後肢に発症した軟部組織肉腫(脂肪肉腫)の外科手術
 ラブラドールやゴールデンが高齢になると
皮膚や皮下に腫瘍が発症します。
高齢になる程、悪性の腫瘍が発症します。
この子は、皮膚にイボがあり、針生検にて良性腫瘍、炎症と診断
されていました。
急に大きくなったので、再検査とCTを行ったところ、
軟部組織肉腫と診断されました。
組織肉腫には、様々な種類があり、悪性度、発生部ににより
予後が大きく変わると言われています。
 今回の病理検査では、粘液肉腫、低悪性度でした。
CTにて付属リンパ節が腫大していましたが
転移によるものか、反応性かは不明でした。

治療法は、多くの場合、拡大切除を行います。
手や足にできた腫瘍の場合、断脚が多く行われます。
この子は、飼い主様の度重なる強い要望で
断脚だけはしたくないと。

手術法は、可能な限り、マージンを含み切除を行うこととなりました。

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手術は、内側からアプローチを行い、
伏在神経、坐骨神経を避け、動静脈も避け切除を行いました。
腫瘍は、筋間から発生した脂肪腫のようでした。

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可能な限り、マージンを取って切除しました。
手術時間は、3時間にも及ぶものでしたが、
術後、20分で覚醒し、翌日には歩行も可能でした。
術後はクローズドレーンを設置し、2日の入院後、
歩いて退院となりました。
術後は、ドレーンから液体が出ていましたが
5日で漿液は出なくなり、抜去しました。

 病理検査は脂肪肉腫という悪性の腫瘍でした。
脂肪肉腫は、脂肪腫と異なり、悪性の腫瘍です。
完全に切除ができていれば、予後は良い腫瘍です。

 今回、針生検にて良性の脂肪腫と診断されましたが
組織検査では悪性と診断されました。
当初の検査で良性と出ても、大きくなるようであれば
再検査、もしくは、外科的に切除すべきだと考えさせられました。

 柔ないかい腫瘍は良性とか、
筋肉に癒着していないと悪性ではないと
よく聞きますが、そういったことは
ありませんので、可能な限り検査をお勧めします。


 
シープドッグの肛門周囲腺腫の外科手術
 去勢手術を行なっていない犬には
1、精巣腫瘍
2、会陰ヘルニア
3、肛門周囲腺腫
などの病気が去勢した犬に比べ、多発する傾向にあります。

 この子は、去勢手術を行なっていない
シープドッグの男の子、13歳でした。
 飼い主様は、他の病院で肛門の腫瘍と診断され、
年齢が高いから、手術が難しいと言われ経過を見ていました。
経過を見ていると、腫瘍が大きくなり、出血も起こり
どうにかできない?と心配され来院されました。

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 腫瘍は、肛門周囲に4箇所あり、出血も認められました。
飼い主様も高齢での手術が危険と他の病院でも指摘され
かなり心配されていました。
当院での血液検査、レントゲン、心電図検査の結果
高齢でも手術が可能でした。

手術に先駆け、事前に疼痛管理と腫瘍の病理検査を行いました。
手術は腫瘍の切除、去勢を同時に行いました。

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麻酔管理が一番重要なので、麻酔は、麻酔管理者の獣医師が付き
血圧、呼吸、心拍、血ガスなどの管理を行い、1時間で終了しました。
手術後は、当日の夕方に歩いて帰宅されました。
術後は、排便を数日しないこもいるのですが、
この子は、2日目に排便可能となり、排便障害もありませんでした。
抜糸は、10日後に行う予定でしたが、術後
本人が術部を舐めて、1週間延期となりました。

 肛門周囲の手術は、術後、痒いので本人が舐めることが多く
事前に予防策としてカラーをつけたり、オムツをしていただきます。
この子も、カラーを着けていましたが、カラーを外した隙に
舐めてしまったようです。

 術後は、抜糸まで術部を舐めないようにしていただき
可能なら、排便後、シャワーで洗浄することを勧めています。
今は、毎日排便が可能で、元気にしています。
 
 飼い主様はご自身の犬のお尻からの出血と
異臭もあり、心配されていました。
手術も高齢でできないと言われ、絶望していたと
今では、手術が終わり、心配もなくなり
飼い主様もお元気になられました。

 
ダックスの耳道内にできた腺癌の外科手術
 犬の耳が急に臭くなったり、汚れたりした際は
外耳炎になっています。
中には、悪性の腫瘍が原因の場合があります。
 この子は、高齢になり、急に耳がただれ、臭くなり、耳を振っていました。
トリマーさんに指摘され紹介され来院しました。

 耳は、ただれと、臭いが重症で
飼い主様も心配されていました。

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 このように、炎症と感染が併発していました。
耳鏡で確認すると、垂直耳道にイボが確認できました。
飼い主様に、モニターでイボの確認していただき、
同時に感受性試験も行いました。
 飼い主様から、今まで外耳炎になったことがない、
皮膚炎にもなったことがないなどの稟告から、腫瘍による
問題が強く疑われました。

 飼い主様の希望で、イボの病理検査を行いました。
病理検査の結果は、悪性の腫瘍である腺癌と診断されました。
 耳の腺癌は耳に発生する悪性腫瘍の中で一番発生が多い腫瘍です。
腺癌は耳の腫瘍の30%を占めており、3頭に1頭は悪性腫瘍と言われています。

 文献によると
犬 19 例中 17 例は病理組織学的に診断され、
12 例(71%)が良性で、5 例(29%)が耳垢腺癌
(3 例は非浸潤癌、2 例は浸 潤性不明)であった。

犬 19 例は外側耳道切除術(LECR)を中心とする保存的手術で治療し、
水平耳道の耳垢腺癌の 1 例(LECR・ 切除生検後の 1.5 ヶ月後に再発)を除き、
術後の再発がみられた症例はなかった。
(Jpn. J. Vet. Anesth. Surg. 47(4): 59–64, 2016.から転載)

 手術は、全身麻酔下にて行われます。
基本、日帰りになりますが、水平耳道などに発生した腫瘍は
1泊になることもあります。
 
 この子は、腫瘍の手術と歯石の除去も同時に行いましたが
日帰りになりました。
 手術は、腫瘍の発生部位により異なりますが、
耳道の皮膚も切除を行いました。
出血量も少なく、この子は、神経障害もまったくでませんでした。
腫瘍は、悪性の腺癌だったので、マージンを大きく切除しました。

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切除後は、10日くらいカラーをつけていただきました。
10日後に抜糸も行いました。
 病理の結果から切除した腫瘍は、
マージンも含め完全に切除できていました。

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 耳の腺癌は、早期の発見ができれば
ほとんが、完全に切除でき、転移も認められません。
 この子も、早期に切除が可能だったので、
手術後の化学療法などもなく、元気にしています。

 早期に耳の腫瘍を見つけるには
耳鏡や、オトスコープが必要になります。
当院では、早期にオトスコープを使用し、
腫瘍、異物、炎症の鑑別を行うようにしています。

 中高齢になり、耳だれ、炎症、痒みが多い場合は
腫瘍を疑っておくことも大切なのかもしれません。
この子は、手術後、耳だれ、臭いなどは全く無くなりました。
再発の可能性も低いので、飼い主様も安心されていました。
乳がんの骨転移に伴う足の痛みに効果のある治療法
 乳がんは中高齢の犬に発症する疾患です。
早期に手術を行えば、完治することが多い悪性腫瘍です。
 この子は、13Kgの雑種犬で乳がんを患っており、
すでに肺に転移しています。

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肺転移に関しては、分子標的薬で進行を抑えています。
 前足を挙げて痛そうにしていると来院されました。
触診でも、痛がり、院内でも足をかばっていました。
レントゲンを撮らせていただき、肘関節の骨に骨吸収像を
確認しました。

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いわゆるパンチアウト所見です。
骨が腫瘍の転移により、溶けてくる状態です。
骨が溶けるので、かなり痛く、歩けないのも理解できます。
 飼い主様には、レントゲン画像を見ていただき
治療法をご説明させていただきました。

 現状、悪性腫瘍の骨への転移の場合、治療には
1、外科的に切除
2、放射線治療
3、骨吸収抑制剤
があります。
 飼い主様と協議の上、3、の骨吸収抑制剤である
ビスホスフォネート製剤(BP製剤)を使用することとなりました
BP製剤は、犬にとって、副作用も少なく、3週に1回の投与です。
最近では、ジェネリック品も販売されたので、以前より
治療費が安くすむようになりました。

 この子も、来院時は足をあげて、家でも寝てる時間が多くなっていました。
PB製剤は効果も早く、翌日から痛みが改善し、元気に動くようになったと
飼い主様も喜ばれていました。

 肺転移の方も、現在、内服薬により、進行が止まっています。
この子に、手術、放射線、化学療法は苦痛などの副作用が起こる治療は避けながら
残りの人生を少しでも楽にしてあげればと思っています。

 現在は、3週に1回の点滴で調子も良さそうです。
飼い主様の希望に添えた治療ができているので、飼い主様も
不安が減ったようです。

 乳がんがすでに転移している場合、
化学療法による治療は、犬にとっても大変です。
放射線療法は大学病院に行かないと行えません。
 
 乳がんの患者様に
分子標的薬
ミクロノミック療法
PB製剤などを組み合わせ、緩和治療に取り組んでいます。
転移して苦しんでいるのを見たく無い、だけど
何とかしてあげたいという気持ちに寄り添うような治療を
一緒に考えさせていただきます。



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