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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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Mダックスが食欲と元気が急に落ちる脾臓腫瘍(脾臓破裂)
 食欲旺盛なダックスやゴールデンが急に食欲がなくなり
元気がないと、来院されると私たちはドキドキします。
 
 飼い主さんは、少しはご飯を食べる、いつもより少し元気がないと
まだまだ、不安にはなっていないことが多くあります。

 この子は、2日前から食欲はあるけど食べつきが悪い
元気も少しないと来院されました。

 診察を行うと、心臓病があり、お腹が張っていました。
飼い主さまに、状況を説明し検査をさせていただきました。

 検査の結果、重度の貧血、炎症、腹部に腫瘍を認めました。
精密検査として、超音波検査を行い脾臓の腫瘍と腹腔内出血があり
脾臓の腫瘍が破裂し、緊急の手術を行う必要性があることを説明しました。

 飼い主さまは、大したことがないと思い、来院されていたのが
重病で、すぐに手術をしないと死ぬかもしれないという話に動揺されていました。
 飼い主様のご家族に連絡を取っていただき、
ご家族に結果、診断、治療方針をご説明しました。
ご家族から手術の同意を得られたので、そのまま入院をしていただき、
すぐに緊急手術となりました。

 手術前に心臓の治療も同時に行い、緊急手術を行いました。
回復と同時に、破裂した脾臓から出血があり、お腹の中は血の海でした。
念のため、出血した血液を約80ml回収しました。

PA230774_convert_20181101085115.jpg

 脾臓は、このように全体に腫瘍を多数認め、
大きな腫瘤は自潰し、出血の原因になっていました。
大きな血管を3箇所留めて、出血を抑制し
脾臓を切除後、お腹の中を洗浄しました。
 手術後は、すぐに回復し、20分で飼い主様と面会されました。
翌日には立って、飼い主様をお迎えできるようになっていました。
 退院は、2日後でご家族と一緒に帰宅されました。
退院後からは、良いウンチをした、元気になった、食欲も戻ったと
かなり喜ばれています。

 病理検査の結果は、「血管肉腫」でした。
血管肉腫は犬の脾臓の腫瘍の約23.5%をしめる悪性腫瘍です。

血管肉腫の好発犬種
1、ゴルデンレトリバー
2、Mダックス
3、Lレトリバー
4、Mシュナウザー
5、Wコーギー     

 治療は、外科的に切除するのが望ましく、
手術が難しい場合は、
1、ドキソルビシン単独
2、ドキソルビシン+シクロフォスファミド
3、VACプロトコル(ドキソルビシン+シクロフォスファミド+ビンクリスチン)
4、ドキソルビシン+ダカルバジン
 上記外には
メトロノミック療法
分子標的療法

 当院では、これらに、カルボプラチン、マシチニブを用いた治療法を
提案しています。

 治療法には、金額、副作用、通院、入院といった
様々な要因が関わってくるので、担当獣医師と飼い主様とで
よく話し合い、治療に専念していただいております。

 
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犬と猫の吐かすことのできない異物の治療法
 食べてはいけないものを飲んだ、食べたと
来院される方は多くいらっしゃいます。
 この子は、プラスチック製のおもちゃを嚙み砕き
食べてしまい。近くの病院に行かれましたが、
催吐処置は難しいと判断され、紹介で来院されました。

 レントゲンでは、胃の中と腸に異物がありました。
確かに、胃の中におもちゃのような陰影とガスが溜まっていました。

 飼い主様には、吐かせて出すことが難しいことをお伝えしました。
飼い主さまは心配されており、すぐに治療して欲しいということでした。
処置までの間に数回、嘔吐していましたが、やはり異物は出てきませんでした。
すぐに、麻酔の準備をし、内視鏡にて異物を取り除きました。
 異物は、複数個あり、胃、食道を傷つけないよう慎重に回収しました。

PA190770_convert_20181019185452.jpg

緑色のものが、異物のおもちゃのかけらです。
回収後、麻酔から覚醒し、退院となりました。

 異物を食べた時、治療法としては、
1、何もせず便と一緒に出てくるまで待つ
2、吐かせる(催吐剤を使用)
3、内視鏡で回収
4、手術で取り出す

 このような選択肢の中から、異物の大きさ、形状などから
治療法を決めています。
一番大切なのは、飼い主様の意向と不安を取り除くことです。
多くのが飼い主様が、「しまった」「私たちの責任」などと考えます。
 治療法がいくつかありますし、催吐薬にもいくつかあります。
担当獣医師とご相談の上、決めてください。
病院にいらしていただき、飼い主様もご安心してください。


コーヒー豆の誤飲と毒性
 夜、緊急で見て欲しいと電話がありました。
内容は、コーヒー豆を包んだチョコを数個食べたというものでした。
数個なので、問題ないですと、お伝えしましたが、
心配なので、診て欲しいということでした。

 早速、来院していただき
催吐処置を施しました。
 処置後、程なく3回嘔吐しました。
内容物には、溶けたチョコレート、溶けていないコーヒー豆
合計16個でした。
飼い主さまは、5〜6個かな〜と。。。

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 黒いのがコーヒー豆でした。
この前にも、5粒嘔吐しています。

 無事に、すべてコーヒー豆を嘔吐したので、
胃酸抑制剤、スクラルファートを投与し
安心した飼い主さまと、元気が無くなったワンちゃんと
無事、帰宅となりました。

 チョコレートは、ビタータイプ、量が多くなければ
大きな問題にはなりません。
しかし、コーヒー豆は、どうなんでしょうか?

 海外の論文も含め
検索しましたが、明らかに、コーヒーが犬に悪いという論文は
見つかりませんでした。
 きっと、コーヒーに含まれるカフェインが体に悪いということから
犬には良くないと言われているのだと思います。

カフェインについて、下記のような論文がありました。
Effects of cocaine and caffeine alone and in combination on cardiovascular performance:
an experimental hemodynamic and coronary flow reserve study in a canine model.
Int J Cardiol. 2004 Nov;97(2):225-32.

 この論文による、5mg/kg では大きな異常は認めないとあります。
カフェインの5mgはコーヒー豆、何粒かは不明です。

こちらは、コカインとコーヒーを一緒に投与すると
体が楽になるという犬を使った論文ですが・・・。

 このように、犬は意図して食べる場合、取られると思い飲んでしまう場合が
多く、気をつける必要があります。
 食べてはいけないものを食べた場合、
飲んだもの、量、時間を記載し、動物病院へ相談することをお勧めします。
ご自身で、塩を飲ます、指を入れるなどの荒療治はお控えくださいね。


猫の口腔内扁平上皮癌の治療
 猫の口が臭う、よだれが多い、口をペロペロすると来院された時、
多くが歯周病ですが、癌で来院されることもあります。
 
 猫の口の中にできる腫瘍は
国内の大学の報告では、扁平上皮癌が67%
それ以外の歯原性腫瘍や良性の肉芽腫が33%と報告されています。
病理検査センターでは、89%が悪性の扁平上皮癌という報告もあります。
このように、猫の口の中にできる腫瘍の2/3〜4/5が扁平上皮癌です。
転移率は7/52と犬に比べ低いと報告されています。
平均生存期間:203.3日でした。

 診断:CT、MRI
     病理検査

 治療法:外科手術
      放射線療法
      化学療法
      光線力学療法
      免疫療法
      分子標的療法
      上記のコンビネーション治療

 猫の口の中にできた腫瘍は悪性の場合が高いため、
肉眼的に異常があれば、早々に精密検査、病理検査を勧めています。
 診断が出れば、猫の状態、飼い主さまの意向、手術の方法などを
総合的に判断し、治療に進みます。

 この子は、口をペロペロして食欲が減ってきたと来院されました。
お口を開けると、歯肉に直径1.5cm大の腫瘤を認めました。

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飼い主様には、腫瘍を疑うので、病理検査をお勧めし、
後日、検査を行いました。
 病理結果は、扁平上皮癌、同時に撮影したレントゲンでは
下顎の骨の吸収像も認めました。
 念のため、CTで進行を確認しましたが、すでに
下顎に腫瘍が浸潤していました。
リンパ節への転移は認めませんでした。
 手術を行い、下顎の切除を行うか、
放射線療法を行うか、いろいろ飼い主様と協議をしました。
飼い主様は、手術後の生活に不安を感じ、猫も高齢であることから
分子標的療法を行うこととなりました。

 治療は、根治を目指すなら、外科的に切除しかありません。
放射線、化学療法のみでは根治は難しいのが現状です。
扁平上皮癌の治療法は選択肢が多いですが、
どの治療法を選択しても長所と短所があるので
担当獣医師と納得するまで、ご相談することをお勧めします。 
     
猫の心筋症による血栓塞栓症の診断
 猫にも心臓病があります。
犬ほど、多くないですが、年に数例、来院されます。
猫の心臓病の多くが、他の病気の検査の際に
心臓の異常が見つかります。

 この子は、朝、急に歩けなくなり
後ろ足が立てなくなり来院されました。
 診断は、心筋症による血栓塞栓症でした。

 塞栓症の診断は、触診、視診、聴診などにより
確定することがほとんです。
検査では、レントゲン、超音波、CTなどを用い
確定診断が行われます。

肥大型心筋症の猫の 33%から 50% が動脈血栓塞栓症に
罹患していると報告されています。
動脈血栓塞栓症に関連する予後について
35%が生存したものの,予後は悪いという報告もあります。

 治療法に関しては、
外科療法と、内科療法があります。
多くの場合、内科療法を行います。

 入院、点滴と同時に
血栓溶解作用のある、低分子ヘパリン、
ウロキナーゼ、t-PAの投与を行います。

同時に、甲状腺機能のチェック、レントゲン、心電図、心臓の超音波検査を行います。

この子は、心筋の厚さが7mmとグレーゾーンでした。
一般検査では、心筋症と診断するには難しく、
左心房の拡張、血栓の有無により、心筋症と診断しました。

心筋症 変更_convert_20180929161858


 飼い主様は、もっと早くに気付いていればと
おっしゃいますが、心雑音も乏しく、レントゲンでも
大きな異常を認めず、血液検査にも異常を認めませんでした。

 最近では、血栓症の特効薬はないものの、
効果を認めたいう論文が発表されています。
 
 急性期の抗血栓薬として低分子ヘパリンのみを使用した個体群は
,低分子ヘパリンと tPA を併用した個体群に対して
有意な生存期間の延長が見られたことより
猫の動脈血栓塞栓症に対する低分子ヘパリ ンの単独使用は,
予後を改善させるうえで有効 であることが示唆された。
(動物の循環器 第 46 巻 2 号29‒35 (2013)より抜粋)

 猫が急に歩けなくなった、大きな声で鳴いているなどの症状があれば
早めに来院をしてください。
可能であれば、低分子ヘパリン、抗血栓薬、甲状線の検査なども

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