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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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猫の口腔内扁平上皮癌の治療
 猫の口が臭う、よだれが多い、口をペロペロすると来院された時、
多くが歯周病ですが、癌で来院されることもあります。
 
 猫の口の中にできる腫瘍は
国内の大学の報告では、扁平上皮癌が67%
それ以外の歯原性腫瘍や良性の肉芽腫が33%と報告されています。
病理検査センターでは、89%が悪性の扁平上皮癌という報告もあります。
このように、猫の口の中にできる腫瘍の2/3〜4/5が扁平上皮癌です。
転移率は7/52と犬に比べ低いと報告されています。
平均生存期間:203.3日でした。

 診断:CT、MRI
     病理検査

 治療法:外科手術
      放射線療法
      化学療法
      光線力学療法
      免疫療法
      分子標的療法
      上記のコンビネーション治療

 猫の口の中にできた腫瘍は悪性の場合が高いため、
肉眼的に異常があれば、早々に精密検査、病理検査を勧めています。
 診断が出れば、猫の状態、飼い主さまの意向、手術の方法などを
総合的に判断し、治療に進みます。

 この子は、口をペロペロして食欲が減ってきたと来院されました。
お口を開けると、歯肉に直径1.5cm大の腫瘤を認めました。

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飼い主様には、腫瘍を疑うので、病理検査をお勧めし、
後日、検査を行いました。
 病理結果は、扁平上皮癌、同時に撮影したレントゲンでは
下顎の骨の吸収像も認めました。
 念のため、CTで進行を確認しましたが、すでに
下顎に腫瘍が浸潤していました。
リンパ節への転移は認めませんでした。
 手術を行い、下顎の切除を行うか、
放射線療法を行うか、いろいろ飼い主様と協議をしました。
飼い主様は、手術後の生活に不安を感じ、猫も高齢であることから
分子標的療法を行うこととなりました。

 治療は、根治を目指すなら、外科的に切除しかありません。
放射線、化学療法のみでは根治は難しいのが現状です。
扁平上皮癌の治療法は選択肢が多いですが、
どの治療法を選択しても長所と短所があるので
担当獣医師と納得するまで、ご相談することをお勧めします。 
     
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猫の心筋症による血栓塞栓症の診断
 猫にも心臓病があります。
犬ほど、多くないですが、年に数例、来院されます。
猫の心臓病の多くが、他の病気の検査の際に
心臓の異常が見つかります。

 この子は、朝、急に歩けなくなり
後ろ足が立てなくなり来院されました。
 診断は、心筋症による血栓塞栓症でした。

 塞栓症の診断は、触診、視診、聴診などにより
確定することがほとんです。
検査では、レントゲン、超音波、CTなどを用い
確定診断が行われます。

肥大型心筋症の猫の 33%から 50% が動脈血栓塞栓症に
罹患していると報告されています。
動脈血栓塞栓症に関連する予後について
35%が生存したものの,予後は悪いという報告もあります。

 治療法に関しては、
外科療法と、内科療法があります。
多くの場合、内科療法を行います。

 入院、点滴と同時に
血栓溶解作用のある、低分子ヘパリン、
ウロキナーゼ、t-PAの投与を行います。

同時に、甲状腺機能のチェック、レントゲン、心電図、心臓の超音波検査を行います。

この子は、心筋の厚さが7mmとグレーゾーンでした。
一般検査では、心筋症と診断するには難しく、
左心房の拡張、血栓の有無により、心筋症と診断しました。

心筋症 変更_convert_20180929161858


 飼い主様は、もっと早くに気付いていればと
おっしゃいますが、心雑音も乏しく、レントゲンでも
大きな異常を認めず、血液検査にも異常を認めませんでした。

 最近では、血栓症の特効薬はないものの、
効果を認めたいう論文が発表されています。
 
 急性期の抗血栓薬として低分子ヘパリンのみを使用した個体群は
,低分子ヘパリンと tPA を併用した個体群に対して
有意な生存期間の延長が見られたことより
猫の動脈血栓塞栓症に対する低分子ヘパリ ンの単独使用は,
予後を改善させるうえで有効 であることが示唆された。
(動物の循環器 第 46 巻 2 号29‒35 (2013)より抜粋)

 猫が急に歩けなくなった、大きな声で鳴いているなどの症状があれば
早めに来院をしてください。
可能であれば、低分子ヘパリン、抗血栓薬、甲状線の検査なども
高齢のコーギーの精巣腫瘍の外科手術
 停滞精巣は、子犬の時に
ワクチン接種時などの健康診断で診断されることが
多く、ほとんどの飼い主さまが、そのことをご存じです。

 この子は、膵炎が重度で転院されて来られました。
膵臓のエコー検査で、腹部に腫瘤があり、それも左右両側にありました。
飼い主さまにお聞きすると、去勢はしていない。
また、精巣がお腹の中にあることも知らなかったようです。
 以前の病院で、エコー検査時に
お腹の中にしこりがあるが、様子を見て良いと言われたようでした。

 お腹の中にある精巣は、腫瘍化していたので
開腹して切除を行いました。

 右側は、膀胱の横にありました。
大きさは、正常の精巣と同じでした。

 P8100655_convert_20180813150525.jpg

 左側は、腸間膜に癒着しており、
腎臓と膀胱の中間に位置していました。
大きさも、正常より大きく、変色していました。

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 腫瘍の切除は20分で剥離と切除を行いました。
その後、お腹を閉じて、覚醒させました。
翌日の朝には、退院となりました。

 病理結果は、右側は萎縮を認めるも
構造は正常でした。
 癒着を起こしていた、左側の精巣は、
セルトリ細胞腫でした。
 犬のセルトリ細胞腫は、精巣の腫瘍の中で多く、
人では、稀な腫瘍とされています。
 病理検査では、脈管転移は認めず、完全に切除できていました。

 このように、他の疾患で腫瘍が見つかることが多く、
特に超音波検査で予期せず、腫瘍を発見することがあります。
この子も、膵炎と腸炎の検査時に腫瘍が見つかりました。
 手術後は、翌日に退院でき
抜糸も1週間後に行います。

 精巣が、お腹の中に残っている停滞精巣の子は
定期的に超音波検査で精巣の確認をしておいた方が良いのかもしれません。
 


プードル(小型犬)の橈尺骨骨折の手術(手術から抜糸まで)
小型犬の前肢の骨折は、高いところから
飛び降りた際に、起こります。
 多くの飼い主様が、
「キャンと鳴いてから
前あしをかばっている」と来院されます。

 この子も、キャンと鳴いてから、ずっと
足を上げており、病院では、ずっと挙上していました。
触診で、診断はつきますが、念のため
レントゲンを撮ります。
 こちらが、初診時のレントゲンです。

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 このように、2本の骨、
橈骨、尺骨が折れています。
1本だけということはなく、ほとんどが、2本の同時骨折です。
 骨折の治療には、手術をしない方法、
手術をする方法に分かれます。
 現在、ほとんどの整形外科医が小型犬の骨折の治療に
手術が必要と言っています。
 
 当院でも、年に1〜2回骨折の治療を行わずに
治癒する子もいますが、特徴があります。
 骨折の断端が50%以上接触している場合に限ります。
この子のように、完全に互い違いになっている場合は
外固定のようなギブスでは、治らないと考えて良いかと思います。
 
 手術には、プレート、創外固定、ピンなどがあります。
どの手術にも長所、短所があるため、
獣医師と飼主様で、よく相談し方法を決めていただきます。
 
 当院では、橈尺骨の骨折の場合、
プレートか、創外固定を行っております。
 手術は、2泊3日です。
こちらは、術後のレントゲンです。

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 術後は、3日目に退院となります。
自宅では、可能な限り安静にしていただきます。

 手術後は、生後6ヶ月までなら、2ヶ月くらい
1歳までなら2ヶ月半、1歳以上なら3ヶ月くらいで
両端のスクリューとプレートを残し、スクリューを抜きます。
 こちらの処置は、半日入院です。

 スクリューとプレートを取らずに、
一生、そのままにしておくことも可能ですが、
可能限り、異物を体に残すことは避けたいです。

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 この処置が終われば、
1ヶ月後、残ったスクリューとプレートを抜去します。

 小型犬の橈尺骨骨折の外科手術の流れになります。
創外固定は、上記と同じでは無いので、獣医師とご相談ください。

 
犬の肉芽腫性髄膜脳炎(Granulomatous meningoencephalitis,GME)の治療
 犬の脳疾患には、多種多様な疾患があります。
症状は様々で、歩けなくなった、目が揺れている、痛がるなど
その子、その子で症状がすべて異なります。

 口を開けるのを嫌がる、食べるのが遅くなったと
来院されました。
 当初は、開口障害を疑い、顎関節症と仮診断しましたが
症状に脳脊髄疾患を疑うものが出てきたいたため、
MRIで脳、脊髄を撮影しました。
同時に、リンパ腫などの腫瘍、ジステンパー脳炎を除外するため
脳脊髄液を採取し、精査しました。
 検査の結果は、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)でした。

GMEとは?
原因:不明
    炎症性病変が融合し、巨大な病変が生じることがある。
    病変は脳幹に局在することが多いが、稀に小脳、視神経、脊髄に認められることもある。

好発犬種:中高齢期の小型犬、特にプードルとテリアに多い。
       4-8歳の子に発症が多いとの報告もある

診断:確定診断のためには剖検、または生検が必要
    臨床的な仮診断はCSF検査により行われる

治療:免疫抑制剤の糖質コルチコイドにより治療を行う
    化学療法も行われ、特に視神経が選択的に侵されている場合には
    シトシンアラビノシドが有効なこともある。
    シクロスポリン、ミコフェノール酸、プロカルバジンは補助療法として推奨される。
                     (Simon R.Platt Small Animal Neurology より参照)



 このように、GMEの原因などは未だ不明な部分が多いのが現状です。
ここ数年、日本でも犬のMRIが撮影可能になりました。
診断まで確定しても、完治が難しい疾患に変わりは無いようです。

 診断を受けた飼主さまも、ご心配であることから
可能な限り、専門医と協議しながら治療を進めていくことにしております。
治療に関しては、免疫抑制剤の投与は変わりありませんが、
投薬料や、投薬の種類などは確定されていません。
 海外の報告でも、プレドニゾロン、シクロスポリン、シタラビンの
報告はありますが、比較対象の論文は少なく、今後の研究が待たれるところです。

下記は、カリフォルニア大学デービス校の教授が記載されていたものです。

GME affects dogs older than 6 months of age, and is most prevalent in dogs between 4 and 8 years of age.

 GME is characterized by a unique angiocentric granulomatous encephalitis consisting of a perivascular accumulation of macrophages often intermixed with lymphocytes and plasma cells. Three major patterns of histologic lesion distribution in brain and spinal cord have been described for GME:
1. The disseminated form, in which the most intense lesions occur in the upper cervical spinal cord, brainstem, and midbrain, often with less severe extension involving white matter of the rostral cerebrum (Figure 3A).
2. A disseminated form with angiocentric expansion forming multiple coalescing mass lesions of similar distribution.
3. A focal form, in which single discrete mass lesions occur in either the spinal cord, brainstem, midbrain, thalamus, optic nerves, or cerebral hemispheres, without dissemination. It remains contentious whether this form is a neoplastic rather than an immunoproliferative process.

The author recommends starting treatment with immunosuppressive doses of prednisone, giving the patient 1.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 1.0 mg/kg BID for 6 weeks; then 0.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 0.5 mg/kg once daily for 3 weeks. The patient then receives 0.5 mg/kg every other day indefinitely. After the first 4–6 weeks of prednisone therapy, cytosine arabinoside may be added at 3–6 week intervals (administered as a subcutaneous injection at a dose of 50 mg/m2 Q 12 H for 2 consecutive days).
Dr. Richard A. LeCouteur
Professor of Neurology & Neurosurgery School of Veterinary Medicine University of California
Davis CA


 GMEに関して、ご質問やご相談があれば、
飼主さまと一緒に治療させていただければ、幸いです。

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