新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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新規 ICU設置
 犬や猫にもICUというものがあります。
当院にもICUがありましたが、さらに大型のICUが入りました。

 ICUとは、犬猫の温度、湿度、酸素濃度を管理した部屋のことです。
心臓病、呼吸器疾患、熱中症、子犬や子猫のケア
術後のケアなどに使われています。

 ICUは今後、高度な医療を行う現場、
今以上の、救命医療には必要な機器です。
 
正面1_convert_20180513085231

 現存のICUは小型のものが多く、
中型犬などが入るICUがあまりありませんでした。
今回、当院では、画像と同じ機器で、
より大きなICUを導入しました。

 これにより、術前の酸素化、術後のケアなども行えます。
さらに、これから暑くなる季節、熱中症対策にも使用できます、
短鼻種のパグ、ペキニーズ、Fブルなどの犬種には
安全な術前、術後のケアができます。

ぬいぐるみ1暗_convert_20180513085313

こちらの画像は、小さいサイズですが
当院では、さらに大きなサイズのもを導入しましたので
中型犬まで入ることが可能です。

 今まで、麻酔、手術などを心配されていた飼い主さまには
より安全な治療を行えます。


 
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時間の経過した猫の骨折
下記には手術画像が含まれます。
 
 骨折は、子猫や子犬に多く、飼い主さまも早期に
気づかれます。

 この子は、外に出していた猫で
家に帰宅した際には、すでに足をかばっていました。
 近くの病院で診察をしていただき
骨折が判明しました。
 骨折は、大腿骨の遠位で折れていました。
単純横骨折でした。
 骨折は、すでに時間が経っており、
少なくとも、1週間以上は経過しているようでした。
 飼い主さまと、相談の上
手術を行うこととなりました。
 手術は多頭飼育、お金をなるべくかけないということから
髄内ピンの挿入による、固定術を行いました。

 この手術は簡単で、かつ短時間ですむ手術です。
また、髄内ピンも簡単に抜くことができます。
 手術は、ご紹介頂いた日に行いました。
この子は、骨折してから時間の経過があり、
骨折部位周辺に線維芽細胞が付着し肉芽組織に置換されていました。
骨折は、時間が経つと、骨折を修復しようと努力します。
しかし、骨折した骨が離れていると骨同士が接合しないため
骨と異なる細胞で治そうとします。
これが、線維芽細胞です。

 P5110522_convert_20180512104945.jpg

P5110523_convert_20180512105002.jpg


線維芽細胞は線維状の塊になり、骨折部位の安定を試みます。
線維芽細胞は骨ほどの強度がないため、骨の治癒にはならず
さらに、手術時の障害になったり、骨の癒合不全を引き起こします。
 骨折から手術までの間、時間が経過すると
骨折部位に肉芽組織で包まれ、手術時間が延長します。
 この子の場合、骨折部位に肉芽組織が形成され
1時間ほど、手術時間が延長されました。
手術は無事、終了し、翌日に帰宅されました。

 P5110524_convert_20180512104926.jpg

 骨折から手術までの時間が長いと肉芽組織に置き換わり
肉芽組織の切除、除去などから、手術部位を大きく切開することになります。
骨折の手術は可能限り、正常な組織を壊さず
骨も露出しないようにしています。
この子の場合、骨の変位も重度だったので
切開部位も大きく、筋肉も大きく切開しています。

 骨折から、どれくらいで手術を受けるのが良いか
決まりはありません。
 骨折の状態、骨折部位、動物の体調などにより
異なります。

 ペットがいつもと違う歩き方や座り方をした場合、
明らかに足をかばう場合は早々に連絡をいただくか
ご来院をお勧めしています。

 この子は、幸せなことに
手術まで受けれたので、4本足で
歩けるようになります。

 飼い主さまも、ご心配されていたので
手術が無事、終わってご安心されたと思います。


猫のラプロス:慢性腎臓病薬(ベラプロストナトリウム)の治療効果
 猫の慢性腎不全は、5歳以上の死亡原因の1位で
10歳上の猫の30〜40%が罹患しています。
(Sparkes et al.J Feline Med Surg.18(3)219-239.2016)

根治は難しく、進行の予防や保存的治療が一般的です。
日本国内で、猫の腎不全治療薬として認可を受けた
ベラプロストナトリウムの効果を検討されています。
今までは、ラットの投与実験からなので、参考にできませんでしたが
今回、猫の症例報告が発表されたので、そちらを参考にします。
(Toyama et al J Vet Intern Med ,32(1)236-248.2016)

P4050470_convert_20180406163215.jpg


多施設で31頭に薬剤投与した結果

 ベラプロストナトリウムを投与した群は
・ BUN,CREAは有意な変動は認められなかった。
・血清リン/カルシウム比は有意な変動は認められなかった。
・食欲が増加し、体重が増加した。

 上記から、ベラプロストナトリウムは猫の腎不全に有効であることは
証明できましたが、今までの薬である
ベナゼプリルや、ARBのような薬よりも効果があるとは言い難いようです。
今後、他の薬との比較、相乗作用などが検討されるまで
第一選択になるかは判断が難しいと思われます。
 
 ベラプロストナトリウムは、食欲増進作用があるので、
食欲が落ちてきた子に、今までの薬に変えることは
有用かもしれません。
 当院でも、食欲不振の腎不全の子には、
ベラプロストナトリウムを処方しています。

 猫の腎不全の食欲不振には、
ミルタザピンや、オンダンセトロンなどのお薬でも
改善することは知れているので、
今ままでの薬を変えることが心配な飼い主さまは
上記のお薬を追加することをお勧めします。

 猫の慢性腎不全は治癒することが難しい疾患なので
飼い主さまも辛いと思いますが、様々な治療法が
あるので、担当獣医師とよく話し合ってください。

 きっと、飼い主さまに合う治療法が見つかると思います。
脾臓の血管肉腫の外科手術と化学療法
 7歳以上の犬が急に元気なくなった、
動かなくなったと来院されることが多くあります。
 他の症状は、食欲がない以外
嘔吐や下痢などはありません。

 このような場合、脾臓の血管肉腫であることがあります。
脾臓の血管肉腫は大型犬、特にゴールデンレトリバー
バーニーズなどに多いイメージがありましたが
現在は、小型犬でも多く認められます。

 P3110424_convert_20180324175636.jpg

 脾臓の血管肉腫の治療法としては
外科手術により、出血を止めること、
その後の化学療法が一般的です。

 外科手術は、事前の検査が重要です。
血液検査では、貧血と凝固系の検査が重要になります。

 貧血はPCV <20% Hgb <5-7g/dlの場合、輸血が必要になることがあります。
血小板が低下している場合には、DICも発症していることがあるため
血漿輸血や低分子ヘパリンなどの治療も行います。

 血管肉腫は転移の多い疾患のため
事前に、心臓や肝臓への転移を確認する必要もあります。
 このようなことが解決できていれば
手術は容易におこなえます。
 
 外科手術は視野の確保のため、
正中切開を行い、脾臓の血管を止血しながら、
腫瘍の被膜を保護し、切除します。
多くの場合、癒着があるので、他の臓器を傷つけないように
切除します。

 術後2日間は、心室性不整脈が起こることがあるのため
経過を確認し、状態が良ければ退院となります。

 術後は、化学療法を行うことが多く、
現在、ドキソルビシンを使った治療法が有用です。
ドキソルビシンを使った治療法と、ドキソルビシンを使わなかった治療法と
比較すると、ドキソルビシンを使った治療法より効果のある治療法は
確認されていません。
 最近では、メトロノミック療法(低容量シクロホスファミド)も
ドキソルビシンを使った治療法と変わらず効果があると報告されています。

 サリドマイドによる治療法も報告されています。
サリドマイドの投薬により生存期間中央値が172日(95% 信頼区間93−250日)
サリドマイドの投薬を受けた犬の33%が手術後1年以上(458−660日)
生存したと報告されています。

 血管肉腫は予後が悪いと言われ
術後、補助療法を行っていない症例も見受けられます。
最近では、抗がん剤も入院せずに自宅での内服も
可能になりました。

 術後の補助療法には、様々な治療法があるため
担当獣医師と効果、副作用、費用などを相談の上
今後の方針をお決めください。

 

フェレットの皮膚 基底細胞腫の外科手術
 フェレットも中高齢になると皮膚にイボが出来てきます。

 この子は、4歳になり、背中にイボが2箇所あり
心配で来院されました。

 P2160403_convert_20180326165900.jpg

 P2160404_convert_20180326165921.jpg


 イボは2箇所あり、飼主様の意向で
抗生剤で経過を見ましたが、イボが小さくならないので
病理検査を行うこととなりました。
 病理検査は、その子によりますが
生検だと、鎮静もしくは、局所麻酔を行います。
 フェレットは、嫌がる子が多いので、
鎮静をかけさせていただき、検査を行うことが多いです。
 検査は、数分で終わります。
病理結果は1週間くらいで、診断が出ます。

 病理診断は、基底細胞腫でした。
基底細胞腫は犬で多く診断される良性の腫瘍です。
フェレットの場合も悪性はほとんどなく、
良性の腫瘍です。

 飼主様と相談し、手術を行うこととなりました。
手術は、半日入院で行われ、術後10日くらいで抜糸となります。

 P2160406_convert_20180326165953.jpg


こちらは、イタリアで2016年に発表された論文です。
腫瘍できた896頭の中の皮膚にできた腫瘍の分類です。
国内では基底細胞腫は多いと言われていましたが、
肥満細胞腫がだんとつに多く、基底細胞腫は発生が少ないようです。
アメリカの論文でも、基底細胞腫は少なく、肥満細胞腫が多いようです。

Table 1
tissue distribution and specific diagnosis of tumors in ferrets
Skin and subcutis
Mastocytic Mast cell tumor 68
Sebaceous Sebaceous epithelioma 22
Sebaceous adenoma 16
Apocrine Apocrine adenocarcinoma 10
Apocrine adenoma 8
Squamous Squamous cell carcinoma 9
Vascular Hemangioma 8
Angiosarcoma 1
Other Fibroma 3
Leiomyoma 3
Basal cell carcinoma 2
Trichoblastoma 2
Leiomyosarcoma 1
Rhabdomyosarcoma 1
Infundibular keratinizing acanthoma 1
Lipoma 1
引用文献
Neoplastic diseases in the domestic ferret
(Mustela putorius furo) in Italy: classification and tissue distribution of 856 cases (2000–2010)

 このように、フェレットの皮膚にできた腫瘍は良性が多いと言われているのは
国内だけか、国内の論文発表が少ないかは不明です。
 フェレットの皮膚にできた腫瘍は可能な限り、病理検査を行った方が良いでしょう。

 この子も、術前に、病理検査を行い、
良性という診断のもと、手術を行いました。

 フェレットの皮膚にできた腫瘍は念のため検査を行うことを
お勧めしますが、経過を見てからという選択肢もありますので
担当獣医師とご相談の上、治療法をお決めください。

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