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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会
日本獣医師会
札幌小動物獣医師会

妻、子供、犬3頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー
   自転車
   バイク
   川下り
   

 

 

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老齢で初めて皮膚炎になった犬のニキビダニ症
 犬にもアレルギー、アトピーがありますが
皮膚病の治療をしたことがまりなく、ホームドクターにて
治療をしていましたが、悪化してきたので来院されました。

 飼い主様は、内股の皮膚が黒くなってきた。
内服しても改善しない、腫瘍じゃないのか?と
心配されて来院されました。

 両側の内股が、痂皮を形成し、
色素沈着を起こしていました。
病理検査を行い腫瘍性ではないことを飼い主様にお伝えしました。
同時に検査した皮膚ではニキビダニを認めました。

 こちらは、その子から
検出されたニキビダニの顕微鏡写真です。

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 ニキビダニは、皮膚の毛穴に潜むダニで
飼い主様が想像するようなマダニ類とは異なり
皮膚の中に寄生します。
また、痒みを起こさないこともあるため
飼い主様も気づかないこともあります。

ニキビダニ
犬のニキビダニは、種として2種が知られています。
Demodex canis.
Demodex inaji.

この子は、飼い主様の稟告では
以前まで皮膚病で病院に通った経緯はなく、
老齢になって初めて皮膚病で診察、治療したと
おしゃっていました。

 ニキビダニの検査は、皮膚検査で容易に発見される場合と
なかなか、ダニの虫体が出てこない場合があります。
虫体が出てこない場合は、毎回、念入りに検査を行うか
皮膚病理検査を行うことを勧めています。
皮膚病理検査とは、皮膚にパンチ生検という
器具で、数カ所、切開を行い病理診断をします。

 治療法は、内服、注射、外用薬があります。
注射は、ドラメクチン
内服薬は、フルララネル(ブラベクト)
     アフォキソラネル(ネクスガード)
内服薬は、現状、国内でニキビダニの適用薬ではありませんので、
使用する前には飼い主様に、使用の説明を行っております。

国内の報告では、6頭に対し、安全で治療効果も
認められています。

 高齢で初発の皮膚病は、
皮膚検査をしっかりと行うことが必要になります。
基礎疾患(甲状腺機能低下症、クッシング)などの
存在もあることから、しっかりと検査を行うことを
勧めています。

 この子は、注射で経過を見てから
その後、内服薬を1ヶ月に1回の自宅での
治療で改善します。


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猫の腎不全のカルシウムの管理の必要性
 犬猫の腎不全の診断を行う際の基準として
IRIS(the International Renal Interest Society)
小動物の腎臓病に対する科学的理解を深めることを目的に設立
IRISでは,2016年現在11ヵ国15名の獣医学専門家による理事会が主体となり,
犬と猫の腎臓病に対する臨床獣医師の診断,理解,治療方法を向上させることを目標として活動している。
主要な目的のひとつは,小動物の腎臓病の推奨する治療方法に加え,
進行度を診断および評価する国際的ガイドライン(IRIS慢性腎臓病ステージング)を確立することである。
(IRIS HPより抜粋)

 この中で、腎不全の診断に際し、
必要な検査は、血中クレアチニン、血圧、尿中タンパク、
尿中タンパククレアチニン比、カルシウム、アルブミン、リン

 血中クレアチン濃度を測定し、ステージングを行います。
その後、尿検査、超音波検査を行い、進行度を検討します。

腎不全の猫は、カルシウム濃度が高くなる傾向があります。
猫の腎不全の際、リンが高くなるとリンの吸着剤を使用します。
リンの吸着剤にはカルシウム製剤が使用されています。

 カルシウム製剤を使用の場合は、他の吸着剤への交換をお勧めします。
当院では、レンジアレンという、鉄製剤を使用しています。

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鉄製剤は、血液中のカルシウムを上昇することはありません。

 長期にわたる高カルシウム 血症は,
慢性間質性腎炎などの尿細管細胞障害や閉塞
間質の線維化、腎石灰化症、腎内結石症の原因となります。

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  アムロジピンは、人の高血圧の治療薬として
活用されています。
猫の治療薬として、また犬の高血圧の治療薬として使用されています。
猫に使用する際は、心臓病がないことを確認のうえ、使用しています。
苦味のない薬のため、無理なく使用できます。
副作用は、多くはありませんが
血圧に関与する薬のため、飲み始めから
数日は、猫の状態をよく見ておいていただきます。
何か不安があれば、休薬すれば問題ありません。

 腎不全の猫の血液検査の際、
腎数値とともに、カルシウムの測定も
行うことをお勧めしています。
犬の乳がんの外科切除領域
 乳がんは、犬、猫、モルモットと多い腫瘍です。
特に、若い頃に不妊手術を受けていない子に多く発生します。

 この子は、子宮蓄膿症の手術の際、
乳頭の頭側に腫瘤を認めました。

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飼い主様には、念の為、腫瘍を生検し病理に検査を依頼しました。
病理結果は悪性の腺がん(乳がん)でした。
同時に検索したリンパ節には、転移像は認めず
孤立性の腫瘍でした。
手術は、病理の結果と、腫瘍の直径から
部分切除を行いました。

 現状、乳がんと診断されたば場合、
片側5個あるうちの乳頭をどこまで切除すべきか難しい判断です。
再発予防を考えるなら、片側摘出手術を行うべきでしょう。
片側の場合、腋下リンパ節を含めた第1乳頭から鼠径リンパ節を含めた
第5乳頭まで切除します。
切除時間はすぐに済みますが、縫合とドレーン設置で時間がかかります。
動物の大きさによりますが、1時間から2時間かかります。

 乳腺がんの大きさにより
切除領域を決定する事も報告されています。
この子は、大きくなっていますが、良性の腫瘍です。

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 論文的には、
乳腺腫瘍のステージ分類は
ステージ    犬    猫
  1 <3cm <2cm
  Ⅱ 3−5cm 2−3cm
  Ⅲ >5cm >3cm
  Ⅳ N1    M1
  Ⅴ M1    ー

 上記から悪性乳腺腫瘍の場合、早期に治療を開始することが
勧められています。
 乳腺腫瘍も他の腫瘍と同じで
手術するしないとは別に、検査だけでもしておくことを勧めています。
検査は、鎮静にて行えます。
時間も30分くらいで終了します。
ほぼ毎日、病理検査を行なっています。
検査結果は1週間くらいで出ます。
結果は、報告書として飼い主様にお渡ししています。

 イボがある、気になるかたは
検査を検討してみても良いのでは。
Mダックスの副甲状腺腫の外科手術(低カルシウムの内科療法)
 定期検査にて高齢の犬で高カルシウム(Ca)血症の子がいます。
この子も、検査にて高Ca血症が見つかりました。
同時に検査センターで高Caに起因する副甲状腺(上皮小体)の検査を行いました。
検査結果は、問題ありませんでした。
多くの子が、ここで異常が出るのですが、なぜか
この子は、正常もしくは低く結果が出ました。
 念の為、超音波検査を行ったところ、
左側の副甲状腺の腫大を認めました。

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 飼い主様と協議し、手術を行うこととなりました。
手術は、30〜40分くらいで終了します。
一般的には、当日か、1泊で帰宅可能です。
手術は、皮膚を切開し、血管と神経に気をつけ、腫瘍化している
副甲状腺を切除します。
こちらが、切除した副甲状腺です。

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 診断は、上皮小体腺腫
良性の腫瘍で予後は良好です。

 術後は、定期的なCa値を測定します。
ほとんどの子で2~10日以内でCa値が下がってきます。
この子は、4日目で低下してきました。
低下を確認と同時に内服を始めます。
内服が難しい状況であれば、入院、点滴を行いながら
静脈にCaを持続投与します。
この際、出来るだけ、心電図を装着し、不整脈を注意する必要があります。
 Ca値は7~9くらいを目標に安定化させます。

 退院後のCaは内服にて経過を見ます。
低Ca血症には、
1、活性型ビタミンD(アルファカルシドール)
2、カルシウム製剤(沈降炭酸カルシウム)

 この子も、術後、血中Ca値が低下したため、
入院を行い、ポンプを使い24時間管理のもと、
カルシウムを投与しました。

 現在は、内服の量を減量しながら経過を見ています。
副甲状腺の腫瘍は、血液検査で発見されることが多く、
神経症状、震えなどの症状のある、中高齢の犬と猫は
要注意です。
 
 飼い主様も安心されたようで、
手術も、退院も早く終了し、自宅で元気に過ごされています。
耳に発症した肥満細胞腫の外科手術
 耳に腫瘍ができる場合、多くが耳道内に発症します。
この子は、耳の外側に腫瘍があり、出血し来院されました。

 14歳のテリアで、てんかんを持っている以外
大きな病気はありませんでした。
 耳のイボが大きくなり血が出たという主訴でした。

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診察させていただくと、耳にイボがあり、引っかいたようで
その部位から出血を認めました。
飼い主様には腫瘍の可能性が高いこと、手術が必要なことを伝えました。
飼い主様も、状況を理解していただき、手術となりました。

 高齢の子なので、術前検査をしっかりと行い
手術の内容の確認の上、手術となりました。

 手術は、耳を半導体レーザー、超音波メス、電気メスを用い
出血を可能な限り抑えることと、手術時間を短くすることにしました。
手術は、ほぼ出血はなく、30分で終了し、カラーを装着後
夕方に退院となりました。

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 術後は、自宅で経過を見ていただくことになりました。
腫瘍は病理検査を行い、診断は
『肥満細胞腫』高悪性度、patnaicⅡ型でした。

 現在、皮膚肥満細胞腫の診断には

1,病理組織学的:グレード分類
2,WHO分類:ステージ分類

 難しいことは、グレード分類、ステージ分類だけでは
予後の判断が難しいことです。

 当院では、リンパ節の転移、血中ヒスタミン濃度、脾臓への転移
遺伝子検査、病理(核分裂像)を予後判定に使用しています。

 肥満細胞腫は、診断は簡単な腫瘍ですが、
治療(切除後の判断)放射線療法、分子標的薬、ステロイドなど
どのような治療がベストか、明確な話が難しい腫瘍です。

 手術後の治療に関しては、
担当獣医師と資料を見ながら、決めていく必要があります。
 

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