新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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猫の腎不全と間違われた尿管結石症(治療法)
 猫の腎不全は、中高齢に多いことは知られています。
若齢でも腎不全に罹患している子もいることが知られています。
 1〜2歳で血液検査にてBUN,CREAが高いと指摘されることが
あります。
 この子は、他院にて血液検査をしていただき、
BUN,CREAの上昇が認められ、心配で来院されました。
検査結果を見ると、明らかに腎臓の数値が上昇しており、
腎不全を疑う初見でした。
飼い主様と相談し、再度、血液検査、尿検査、画像診断を
させていただきました。
検査の結果は、血液検査は他院と同じ結果で問題がありました。
尿検査は、尿タンパクは1+、
尿潜血 1+、ph 7.5 尿タンパク:クレアチニン比 1+ 
画像診断は、レントゲン、超音波検査を実施させていただきました。
レントゲンは、異常を認めず、超音波検査では、腎盂の拡張と
左尿管の拡張を伴う、結石を認めました。
 総合的に尿管結石による、尿の排尿が難しくなった
腎後性腎不全と診断しました。
この場合、尿管結石を除去できれば、腎不全は急性腎不全となり
完治が可能です。
 治療は、飼主様に承諾を得て、尿路造影を行い、
尿管結石を確認しました。
幸せなことに、尿管結石は完全閉塞ではなく、
部分閉塞でした。

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 尿管結石の治療には、内科療法と外科療法があります。
内科療法:輸液療法
       利尿薬
       鎮痛剤
       尿管拡張作用薬
       治癒率は8-13%
外科療法:尿管切開
       尿管膀胱吻合術 
       再閉塞率 40%(Kyless et.al 2004)
       尿管ステント術
皮下バイパス(SUBシステム)

今回、腎不全が軽度であったこと、
尿管結石による尿管の閉塞が軽度であったことなどから
飼主様と相談し、入院、点滴を行い、尿管拡張作用薬、鎮痛剤を
併用し、2日後には、膀胱の中に結石が落ちていました。
その後、徐々に腎数値は低下し、正常値に戻りました。
3日後には、無事、退院となりました。

 腎臓の中には、まだ結石が残っているので
食事療法とサプリメントを併用し、経過を見ていますが、
今の所、尿管に結石が詰まることもなく、腎数値も正常のまま
維持できています。
 
 このように、若齢の腎数値の上昇を認めた場合、
可能な限り、尿検査、画像検査を行ってください。
 
 現在、尿管結石の治療は、
1、尿管切開+尿管膀胱吻合術
2、不完全閉塞では、輸液を中心とした膀胱への移動
3、狭窄症例はステント
が選択されています。

 猫の状態、飼主様の意向、などを踏まえ
治療法を選択されることをお勧めします。

 腎不全は、しっかりと診断を行い
治療を間違わなければ、長生きできますので、
ご安心ください。

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犬猫の腎不全の検査(蛋白尿:クレアチニン比)の重要性
 犬猫の腎不全は、現在、治す医療というより
付き合っていただく医療になっています。
人の場合、腎臓病の治療には
腎臓移植、透析などが行われています。

 犬猫の場合、道内で、腎臓移植を行っている施設はなく
透析を行っている施設も減っています。

 犬猫の腎臓病は、今まで血液検査のみで
重症度を判定していたり、腎臓病の有無を決めていましたが
現在は、画像診断、血液検査、尿検査、病理検査により
人と同じように、総合的に判断します。 

 では、犬猫の腎臓病はどうしたら良いのでしょうか?
それには、早期発見早期治療と言われています。
 早期発見と言っても、何をすれば良いのでしょうか?
腎臓の機能を早期に見つけるには、尿タンパクの有用性が示されています。

 今までは、血液検査(BUN,CREA)などで腎臓病を見つけていました。
今でも、 IRIS(International Renal Interest Society)はCREAによる
ステージ分類を行っています。

 犬猫の尿検査は有用でしょうか?
先ほど、記載したように犬猫の腎臓病は
血液検査により重症度を決定しますが、猫の負担の少ない腎臓病の指標は?というと
尿タンパク:クレアチニン比(UPCが有用です。

 尿タンパク:クレアチン比(UPC)とは
腎臓から漏れ出たタンパクとクレアチニンの比率を測定し
腎臓の重症度、予後を判定する検査です。

 猫の微量な蛋白尿は予後を悪化させるという論文があり
(J Vet Intera Med 2006,J Small Animal Proc 2006)
当院でも尿タンパクと尿タンパク:クレアチニン比を計測しております。

 もし、腎臓病が疑われると指摘された時は
検査が必要ですが、心配だけど、痛いことや病院に連れて行くのは
という方は、尿検査をお勧めしています。
当院では、尿タンパク:クレアチン比を計測する機器を
導入したので、尿をご持参してだければ、数分で結果が出ます。

 猫の腎臓病の重症度や経過を見る検査も
徐々に多くなってきました。
 最近では、SDMAという検査も行われるようになりました。
SDMAは、猫専用の検査ですが、また記載したいと思います。

 
猫の横隔膜ヘルニア(食道裂孔ヘルニア)の外科手術
 猫の呼吸がおかしいと来院されると、
気管支炎(喘息)、心臓病、横隔膜ヘルニアかな?と
想像しながら、診察をしています。

 この子は、他の病院で横隔膜ヘルニアと診断され
当院へ、紹介で手術をされに来院されました。

 持参されたレントゲンでは、明らかに胸郭に
内臓(胃と腸)が入り込んでいました。
事前の検査では、どこのヘルニアかは、不明で、
手術の際に初めて、診断がつくことが多いです。

 手術は、事前に、超音波で腹部を探索し、
異常がないかを確認しておきます。
猫の横隔膜ヘルニアは外傷性が多いので、
開腹後は、慎重に、ヘルニア孔を確認します。

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 手術は、正中切開を行い、
胸腔に入っている臓器を慎重に戻します。
この際、癒着などがある場合は、切開を行い戻します。
この子は、一部、癒着があったので、止血しながら
癒着を剥離し、戻しました。

 ヘルニア孔を確認し、周囲の状況も再確認し
縫合を行います。
 食道裂孔の場合、
・ヘルニア孔の閉鎖
・食道固定術
・胃固定術
上記の3つを同時に行うことを勧めています。

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 手術時間は、癒着、閉鎖孔の大きさで、異なりますが、
一般的に、1〜2時間で終了します。
術後は、半日後には、飲水、1日後には流動食を食べていただき、
2日後には退院となります。
 
 横隔膜ヘルニアは、術後、すぐに元気になり
1週間後くらいには、抜糸となることがほとんどです。

 横隔膜ヘルニアは犬でも、猫でも多く
呼吸がおかしい、嘔吐を繰り返すことで来院されます。
レントゲンで、ほぼ診断がつきますが、念のため
造影検査、超音波検査なども事前に行っておくと
手術の際、予期せぬ事態にならずに終了します。

 手術後は、とても元気になり
呼吸も正常になりました。
飼い主さまも、ヘルニアと聞いて、びっくりされたと思いますが、
いつもの姿に戻って、走り回るので、喜ばれていました。

 
ハムスターの前肢にできた繊維肉腫の外科手術(断脚術)
 ハムスターは皮膚に腫瘍ができやすく、
老齢になればなるほど、増加する傾向にあります。
 悪性の腫瘍の発生も多く、経過を見ている間に
急速に成長します。

 この子は、飼主さまが、前足に何かある。
血豆?かなと来院されました。

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 診察をさせていただくと、血豆というよりも
充実性の腫瘍と診断させていただきました。

老齢の子は、他にも病気を持っていることから、飲み薬で
経過を見ましたが、1週間で大きくなり
手術を希望されていなかった、飼主さまも手術を希望されました。

 手術方法は、腫瘍が大きくなりすぎたため
腫瘍の身を切除するだけでは難しい状況でした。
飼主さまからも、再発するより、完治を希望されました。

 骨の変形があることから、悪性腫瘍であることは
わかっていましたので、断脚を選択されました。
ハムスターの断脚は、麻酔管理がしっかりしていれば
問題なく、簡易な手術です。
手術時間も数分で終了します。

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 この子は、腫瘍以外の病気も持っていることから
麻酔時間を極力少なくし、手術は合計10分で終了しました。
飼主様には、手術が終わるまで待っていただき、手術が終わり
麻酔から覚醒したら、すぐに帰宅となりました。

 術後は、断客部位を機にするものの、
出血などもなく、少し戸惑っていましたが
翌日には、元気に来院されました。

 腫瘍は、悪性の線維肉腫で、ハムスターでは
多く見られる悪性腫瘍でした。

 犬猫と同様に、指先にできる腫瘍は進行が早く
残念な結果になることが多くありますが、
今回は、飼主さまの手術までの判断と決断が早く
無事に切除ができました。

 ハムスターの腫瘍では、1週間で倍以上になることも
あるので、急な挙動を見せる腫瘍は早期に切除、
もしくは、病理検査をお勧めしています。
ヨーキーの卵巣腫瘍(顆粒膜細胞腫)の外科手術
避妊をしていない老犬に卵巣の腫瘍が発生することは
稀ですが、子宮疾患の検査の時に偶然、発見されることが
あります。

 この子も、子宮蓄膿症の検査のため
超音波検査を行った際、発見されました。

飼主様も、もちろん、知らず超音波検査を実施した際、
画面に直径4cmの腫瘍を見て、びっくりされていました。

 子宮蓄膿症と手術ため、開腹した際
同時に卵巣の腫瘍を切除するため、緊急手術となりました。
 手術は、卵巣の大きな腫瘍が両側にあるため、
大きめに皮膚を切開し、開腹させていただきました。

 開腹すると、大きな卵巣と膿が貯留した炎症を起こした
子宮が確認できます。

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 卵巣は、かなり大きくなり、摘出時、癒着を剥がすこと
さらに、子宮蓄膿症の影響で、腹膜炎を併発していました。
 切除した、卵巣はこのようなかなり大きくなっていました。

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 卵巣の腫瘍の約50%は顆粒膜細胞で、
良性が多い腫瘍と言われています。
今回、摘出した顆粒膜細胞は、悪性でした。
悪性の顆粒膜細胞は全体の20%を占めています。
 この子は、悪性腫瘍でしたが、皮膜に包まれ
転移もなく2日後に、退院となりました。

 卵巣の腫瘍は、飼主様が気付かれる時には
すでに、胸膜炎や腹膜炎とを併発し、元気がないなどの
症状を呈して、来院されます。

 今回のように、他の疾患で、念のため
超音波検査を行うと、見つかることが多い腫瘍です。

 避妊をしていない、お歳の召したワンちゃんの飼主様は、
年に1度でも良いので、超音波検査を行うことをお勧めしています。

 顆粒膜細胞腫は、卵巣腫瘍の中で
もっとも多く発症する腫瘍です。
基本、良性の腫瘍ですが、悪性の場合もあり、
悪性の場合、腹膜炎、胸膜炎などの腫瘍随伴症候群に陥り
来院されることもあります。

 最近、発情出血がないな?
お腹が大きいかな?
外陰部が腫れてるな?
と感じたら、卵巣の腫瘍かもしれません。。。

 超音波検査は簡単な検査のため、
心配な方は、担当獣医師にご相談ください。

 

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