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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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皮下出血により貧血になったゴールデンレトリバーの血管肉腫
 7歳のゴールデンレトリバーが数ヶ月前から皮膚にイボがあり
徐々に大きくなり、3日前からさらに大きくなったと来院されました。
 待合室で急にぐったりして、びっくりした飼い主様が声をかけていただき
すぐに診察となりました。
 肩の部分には、大きなしこりがあり、液体が溜まっていました。
口腔粘膜色は白く、貧血を疑う所見でした。
すぐに採血、エコー、レントゲンを行いました。
結果は、皮下出血、貧血を認めました。

 診断は、腫瘍が破綻し、出血を起こしたことにより
貧血になったもので、腫瘍は悪性を疑いました。

 輸血とともに、腫瘍切除を行いました。
輸血は、同居犬のラブラドール、
お友達のゴールデンから献血をしたいただきました。
 輸血後、手術を行い、出血点を止め、
さらに、腫瘍を切除しました。
手術後は、漿液が出るものの、出血は止まり
貧血も改善してきました。
 残念ながら、CTにて肺転移、脾臓転移を認めていましたが
貧血が重篤であることから脾臓摘出は行いませんでした。
 術後、3日で陰圧ドレーンを装着し帰宅となりました。

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 病理検査で、腫瘍は血管肉腫と診断されました。
血管肉腫は、大型犬に多く、脾臓に発生した場合、
脾臓破裂で貧血性ショックで来院されます。
この子は、筋肉にできた肉腫が破裂した珍しい症例でした。
 
 ゴールデン、バーニーズなどの大型犬は
6歳を過ぎた頃から定期検査、脾臓のエコーなどを
優先的に行う方が良いのかもしれません。

 現在、自宅で経過を見ていますが
転移を認めているので、分子標的療法、
メトロノミック療法、抗がん剤などの併用も考えています。

 大型犬の輸血は、事前に大型犬のお友達を作っておくこと、
輸血の知識を持っておくことを認識した子でした。

 今は、元気に自宅で経過を見ているので
ご家族も一安心のようなです。


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犬の子宮蓄膿症の内科療法(外科手術を行わない方法)
 避妊をしていない中高齢の犬に
子宮蓄膿症という病気があります。
当院では、月に数頭ペースで来院されます。
 
 症状は、
陰部からオリモノがでる
多飲多尿
下痢(軟便)
食欲不振
嘔吐
など上記の症状で来院されます。

子宮蓄膿症の診断は、超音波検査で行います。
同時に、血液検査にて、腎不全、敗血症に陥っているかを診断します。
血液検査にて麻酔に影響がなければ、手術を行います。
中には、心臓病、腎臓病、敗血症などで麻酔がかけれない子もいます。

 今回、麻酔をかけれない子が来院したので
外科手術を行わず、治療する方法をご紹介します。

 この子は、心臓に腫瘍があり、麻酔をかけることは難しいと
判断し、内科療法になりました。

 使用する薬は『ALIZIN』ファイザー社 オーストラリア動物薬です。

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この薬は、アグレプリストン
効能:妊娠中絶薬、プロゲステロン受容体拮抗薬
効果:子宮内が黄体期から脱する
   細菌の増殖を抑制する
   プロジェステロン支配下の子宮頚管を弛緩させる
投与回数:開放性子宮蓄膿症:10mg/kg を1.2.7.14日
     閉鎖性子宮蓄膿症:6mg/kgを1, 2,3,4日 初日のみ1日2回投与

 外科手術は、卵巣子宮的手術を行います。
手術は簡単で、多くの場合、30〜40分で終了します。
 子宮の大きさは様々で、このように
子宮から膿が出ていると小さく。この子は15kgの北海道犬です。

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 この子は、13歳、8kgのMシュナウザー

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 どちらの手術も、ほぼ出血もなく
麻酔の覚醒もよく、2〜3日の入院後退院となります。

 アリジンは、オーストラリアで販売されており、
日本での購入は輸入になります。
 当院では可能な限り、在庫をしておりますが、
緊急の場合も、関連病院からすぐに届くため、
緊急の対応も行なっております。

 心臓病、腎臓病、脳疾患、貧血などの問題で
麻酔のリスクが高い場合、内科療法で経過を見るという
選択肢を考えても良いのではないでしょうか?


1歳のプードルの肉球にできた軟部組織肉腫の外科手術
 1歳の犬にも悪性の腫瘍が発生することがあります。
この子は、近くの病院で、足の裏の肉球にイボができ、
病理検査の結果、軟部組織肉腫(悪性)と診断されました。
腫瘍は、前足の真ん中の一番大きな肉球にできていました。

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 近くの病院では、肉球の切除範囲が決めれないこと、
断脚なども考慮に入れないといけないことから当院に紹介で
来られました。

 軟部組織肉腫とは皮膚に発生する悪性腫瘍です。
犬の皮膚できる悪性腫瘍の20.3%と報告されています。
(J Am Anim Hosp Assoc. 2016 Mar-Apr;52(2):77-89)
 軟部組織肉腫は中高齢の中型〜大型犬に多く発生します。

 この子は、まだ1歳でTプードルのミックス犬でした。
病理結果から、外科手術を第一治療に考えました。
問題は、マージンの設定です。
この子の腫瘍は、肉球にできており、それも
前足の一番大きな肉球です。
肉球は、脂肪組織でできており、歩行時には
無くてはならない組織です。
肉腫の手術では、可能な限り、再発しないマージンで
切除することを目指します。
 飼い主様と、切除領域に関して
御協議をし、肉球をすべて切除する場合、
一部切除する場合の、今後の生活の話をさせていただきました。

 話し合いの結果、これからの人生があるので、
再切除の可能性をご理解の上、一部切除としました。

 手術は、付属している中足骨、末節骨も含め、
同時に切除を行いました。

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肉球に関しては、一番大きなパッドを歩行に支障がない
半分を切除しました。

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 転移の可能性は少ないため、付属リンパ節の切除は
実施しませんでした。
 
 手術後は、当日に帰宅され、
自宅での経過観察としました。
傷が開く可能性もあるため、ケージレストとしました。

病理検査の結果は、肉球の一部で腫瘍は留まり、
完全切除でした。

 この子は、1歳であるのにも関わらず
悪性腫瘍が発生しました。
当初、診察をしていただいた病院で早めの
病理検査を実施したことが、功を奏した良い例でした。
 若いからガンはない、小さいから大丈夫といったことは
無いので、治りが遅い、心配な場合は、
早期に検査をお勧めします。


 
猫の肥大型心筋症による動脈血栓症の内科療法
 猫の心臓病の多くが心筋症です。
症状がなく、心雑音を軽度で、偶然見つかることがほとんどです。
当院でも、手術前検診、定期検診、呼吸器疾患の検査で
見つかります。

 この子は、心筋症の治療を行い、血栓の予防もしていました。
急に、両方の後肢が動かず、痛みを伴い来院されました。
心エコーでは、左心房の拡大が認められました。

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診断は、心筋症から大動脈血栓塞栓症(ATE)
猫の当ては予後が悪く、生存、退院できる子は、
30~40%と報告されています。
退院後の生存期間は、117日(Smith 2006),184日(Atkins 1992)
と報告され、予後が悪いとされています。

ATEの治療法には、疼痛管理、心不全の管理、血栓形成の管理です。
この子は、すでに、心不全の管理、血栓の管理は行っていました。
呼吸の状態があるいこと、痛みがあることから
1、ICUでの入院
2、血管確保
3、痛みの管理(ブトルファノール、ブプレノルフィンの投与)
4、血栓溶解療法(組織プラスミノーゲンアクチベータ t-PA)
(低分子ヘパリン)

上記の流れになります。

この子は、開口呼吸、痛みを伴い、緊急を要する状況でしたので、
入院、点滴を行い、組織プラスミノーゲンアクチベータ(モンテプラーゼ:
商品名:クリアクター)の投与を開始しました。
同時に、鎮痛薬と、低分子ヘパリンの投与も行いました。
30分くらいで痛みがとれ、開口呼吸も治ってきました。
モンテプラーゼは、かなり高価で、40万単位で
5〜10万くらいします。

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こちらの、モンテプラーゼを1日1回 3日連続で投与しました。
同時に、低分子ヘパリンも併用しています。
低分子ヘパリンは高価ではありませんが、
1日2回接種の必要性があります。
モンテプラーゼと低分子ヘパリンの併用が
論文では、効果があると報告されています。(Saida 2013)

 当院では、内科療法の場合、
このような流れと治療になります。
人の血栓症のように、発症時間との関連、
血栓溶解剤の効果など、まだまだ分からない部分が多くある猫のATEです。
 治療薬が高価なこと、急な発症などから
飼い主様も精神的に困惑すると思いますが、
可能な限り、ご説明を行い治療させていただいております。

 この子は、入院3日目で無事退院となり、
今は、少しづつ足が動くようになっています。


子猫の外傷性横隔膜ヘルニア、肋間裂開、皮下気腫の外科手術
 馬を飼育されているお家から
子猫の右胸が腫れて、元気なく、動かないと来院されました。
全身を見ると、右上腹部が腫れており、内出血が認められました。
レントゲンでも、皮下気腫、横隔膜ヘルニア、肋間筋肉の断裂などが
確認できました。

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 飼い主様にもご覧になっていただき、外傷性の障害であること、
手術が必要なことをお話しし、血液検査と超音波検査を行いました。
検査の結果、手術は耐えれそうだったので、翌日、手術のため
入院点滴を行いました。

 手術は、横隔膜ヘルニア、皮下気腫などを考え
人工呼吸器を使い、陽圧管理下で手術を始めました。
手術は、胸からお腹まで大きく切開しました。
お腹から、胸部を見ると、横隔膜に大きな穴が空いており、
お腹の臓器が肺、心膜に癒着を認めました。

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 まずは、横隔膜膜が裂け、お腹の臓器が胸に入り込んでいたので
ゆっくりと取り出します。
すでに癒着もあるので、電気メス、半導体レーザーを使って
肺、横隔膜から癒着を剥がします。
 裂けた横隔膜を正常に戻し、縫合します。
肋骨の筋肉が裂けて、皮下気腫になっていたので、
肋骨と筋肉を正常に戻し縫合しました。
 横隔膜ヘルニアの際、肺と胸郭に残った空気を
抜くため、ドレーンを装着しました。

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 手術は横隔膜を切開しているので、人工呼吸器を使い
呼吸量と呼吸回数を調整し無事、手術は終了しました。
 術後は、念の為、ドレーンを陰圧にし
酸素室(動物用ICU)にて2日間入院していただきました。
手術翌日から、ICUの中でも食事をとり、お水も飲めるようになりました。
3日目は、一般病棟で入院をしていただき、4日目に無事退院となりました。

 農場の方々の励みと親身な対応で
今は元気に、過ごしています。
 今後は、馬に近づくときは
馬をびっくりさせないように。


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