新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

Author:動物病院 院長
関西出身 47歳

獣医学博士
獣医麻酔外科学会 評議員

妻、子供、犬4頭、猫1頭、フェレット2匹
ハムスター2匹と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   フライフィッシングも超初心者です。

 

 

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大きくなりすぎて自潰した犬の乳がんの外科手術
 犬の乳がんは、日々の診察で出くわす腫瘍の一つです。
現在、動物医療での最新情報とともに、今回の症例の概要を記載いたします。

 この子は、良性の乳腺腫瘍と思い、経過を見ていたら
大きなりすぎて、腫瘍の一部が自潰し化膿し来院されました。

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 腫瘍は、乳腺から発生しており、かなりの時間が経過していました。
飼主さまも、化膿した匂いと、出血のため、手術を希望され来院されました。
 手術前に、肺の転移像の確認、血液検査、リンパ節への転移などを調べ
大きな問題がないため早々に手術となりました。

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 手術は、短時間で終了し、マージンを含め切除しました。
腫瘍は、筋肉に一部癒着していましたが、きれいに切除できました。

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手術時間は、約40分で終了しました。
入院も半日で終わり、夕方には元気に帰宅されました。
術後は、鎮痛剤、抗生剤の投与を行い、
10日後に抜糸を行いました。
 病理の結果は、
悪性である、乳腺ガンでした。
脈管侵襲などが認められないことから、
抗がん剤や、放射線療法は行いませんでした。

 犬の乳腺腫瘍の最近の知見

検査:細胞診では、悪性良性の判定は、難しい
    悪性所見は、悪性と診断
    良性は、必ず良性とは限らない

ステージ分類:Ⅰ、T<3cm
         Ⅱ、T3-5cm
         Ⅲ、T>5cm
         Ⅳ、N1
         Ⅴ、M1
Stageと予後:ステージⅡとⅢには大きな差はない
         転移症例は予後不良

治療:外科手術が第一選択
    多くの乳腺組織を摘出することに直接の延命効果なし
    同時に卵巣子宮を切除することに抗腫瘍効果はなし
    腫瘍摘出時に卵巣子宮摘出はG2において、予後改善効果がある
    腫瘍摘出時に卵巣子宮摘出はG3において、予後改善効果はほとんどなし

 上記は、日本麻酔外科学会の見解で、
2016の論文では、異なる見解も出されていますので
担当獣医師と相談の上、手術法、卵巣子宮摘出も行うか
話し合ってください。
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フェレットの腸内異物の外科手術
 フェレットは、何にでも興味があり
何でも、口に入れてしまいます。

 この子は、急に食欲なく、元気もないと
近くの病院で、診察を受けられ、治療をしていたのですが
改善しなかったので、病院からの紹介で診察をさせていただきました。

 診察中も、フェレットの元気さもなく、おとなしく
飼主さまも、いつもの元気がないと・・・。
 お腹を触ると、胃が腫れており、腫瘍のような塊は
触知できませんでした。

 血液検査では、大きな異常は認めず、
レントゲンで、胃の拡張と腸の動きが停滞していました。
 異物を疑ったのですが、飼主様は、異物を口に入れる子ではないと。。。
超音波検査では、十二指腸に異物らしき影があり、
再度、飼主様も相談しました。

 飼主様も、検査の結果から
心配なので、開腹手術を同意され、緊急で開腹手術を行いました。
 開腹の結果、十二指腸に異物があり、
同時に胃の中にも異物が認められました。
 腸に異物が閉塞し、腸が変色しています。

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 異物を取り出すと、毛?のようなものが出てきました。

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異物は、合計で4個、取り出されました。

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念のため、他の臓器も、確認しましたが、異物は認められませんでした。
 手術は、1時間で終了し、2日後に無事退院されました。 
 
 異物は、毛の塊で、飼主様のおっしゃる通り、
異物というより、絨毯の毛や、飼主様の毛を食べて、
胃の中で、毛球になり腸に閉塞したと推測されました。
 このように、猫や、フェレットなどの肉食動物は
胃の中で、毛玉を作りやすく、毛球症になることが知られています。
 フェレットは、猫と違い、吐いて出すことが苦手なので、
腸閉塞の原因になることがよくあります。
 フェレットを飼っている方は、床に落ちた毛を食べていたり、
拾い食いの癖のある子には十分に気をつけてください。
さらに、毛球予防に、毛球予防のサプリメントなどを
定期的に与えることをお勧めしています。

 退院時、飼主様は、元気で、食欲のある、
いつもの状態に戻った、我が子を見て嬉しそうでした。


 
猫の脊髄腫瘍(髄膜腫)の外科手術
 下記には手術の画像が含まれます。

 犬の後ろ足がふらつくと来院されることは日々の診察で
よく遭遇する疾患です。

 猫の後ろ足がふらつくことは多くありません。
この子は、1ヶ月前から他の病院でステロイドを
投薬していましたが、悪化したため来院されました。

 猫の後ろ足がふらつく病気としては、
内臓疾患(肝臓や腎臓などの)
内分泌疾患(甲状腺や副腎、糖尿病など)
脳疾患(脳炎や脳腫瘍など)
脊髄疾患(椎間板ヘルニアや梗塞など)
ウイルス疾患(白血病ウイルスやFAPなど)
上記以外にも色々、あります。

 今回の子は、他の病院でステロイドを使用したこと、
またその経過などから、脊髄疾患を疑い、MRIを実施しました。

 MRIでは、脳に異常は認めず、脊髄に腫瘍を認めました。
第6腰椎と第1仙椎の左側にあり、臨床症状、神経症状とも一致しました。

 現在、MRIやCTの画像での腫瘍の診断は難しく、
病理検査が必要になります。
今回は、脊髄腫瘍の摘出と、同時に病理検査を行いました。

 手術は、変側椎弓切除術と背側椎弓切除術を組み合わせました。

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手術は、神経などに触れることから
3時間ほどかかりました。

 術後は、大きな障害もなく、2日後に無事退院となりました。
病理結果は、髄膜腫の亜種でした。
 
 猫の髄膜腫は脳に多く発生し、
48頭の中、45頭が脳に、3頭が脊髄腫瘍という報告があります。
(Carpenter JL,Disease of the cat)

 進行は様々で、3〜5か月にわたって、運動失調が認められ、
その後、対麻痺になった症例や、後肢の不全麻痺が進行しなかった症例もいました。
(Aspertoi RM,Vet Radiol and Ultrasound)

 猫の脊髄に発生した髄膜腫に関して
未だ、エビデンスが乏しく、この子の飼主様にも
手術の結果、予後が悪くなること、悪化することも
お話をした上で、手術を行いました。
 術後は、経過も良く、
自分でトレイにも行けますし、排尿排便も可能です。
術後、放射線療法を併用した方が良いとする論文もありますが
何度も麻酔をかけることから、今は経過を見ています。

 手術後、元気にしている猫ちゃんを見て
飼主様も安心されたようです。
 猫ちゃんも飼主様も、ご苦労様でした。


短期入院が可能なプードルの大腿骨頭切除術
  
成長期のプードルが後肢をケンケンする、
足を上げることがあると来院されます。

 多くの場合、膝の骨が内側に脱臼する
膝蓋骨脱臼症候群です。
中には、この病気ではなく、股関節に先天的な問題を
抱えて来院されることもあります。
 
 それが、Legg-Calvé-Perthes (LCP)
レッグペルテス(無菌性大腿骨頭壊死症)です。
原因は不明の疾患で大腿骨頭への血行が阻害され、
大腿骨の骨頭が壊死してしまう病気です。
1歳までに発症することが多いため、遺伝性と唱える獣医師も多いようです。


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 診断は、画像診断を行います。
最近では、レントゲン検査で診断できない、
初期の症例でも、CTを使い、早期に診断が可能になりました。

 治療は、手術がほとんどですが
内科療法や保存療法を、行っております。
内科療法は、未だ確立された治療法は何ので
担当獣医師とよく相談し、治療法を決めていただきます。
 
 外科手術は、壊死した骨頭を切除する
大腿骨頭切除術が行われています。
 この子も、痛みが伴い
レントゲンにて確定診断を行いました。
 飼主さまには、内科療法で痛みのコントロールは
できますが、ほとんどの症例で、悪化していきます。

 飼主さまは、家族会議を行い
手術を受けることにされました。

 手術は、約40分で終了し、
1泊していただき、翌日には退院となります。
 手術自体は、難しくない手術です。
寛骨、骨頭切除部のトリートと疼痛管理、
術後のリハビリが重要になります。

 術後は、1〜2週間くらい
患肢を上げていますが、手術の痛みが無くなると
同時にリハビリを行えば、肢を負重するようになります。
 
 この疾患は、早期診断が重要で、
悪化してから、手術を行うとリハビリなどに時間がかかり
治癒するまでの時間も長くなります。

 Legg-Calvé-Perthes Disease(LCP)は、
・小型犬:ヨーキー(海外では好発)、プードル(日本では好発)、ウェスティー
・12kg未満
・オスメス関係なし
・4〜12ヶ月齢(7ヶ月齢がピーク)
・10〜15%で両側性に発症      出典:DM Nunamaker
と海外では報告されています。

 現在、CTなどの導入により
かなり早期に診断が可能になりました。
若齢の小型犬で、肢を上げている場合は
早期にレントゲンでの撮影を行いましょう。

 



 
猫の腎不全を伴った、膀胱結石の短時間手術
 下記には手術の画像が含まれています。

血尿で来院される猫の多くが猫泌尿器症候群です。
その中で、膀胱結石の症例はごく一部です。

 猫の年齢にもよりますが、猫は、犬と異なり、
細菌性膀胱炎が少ないことから、初診時から超音波検査を行うことで
膀胱の状況、結石、腫瘍の除外診断が可能になります。
 
 この子も、初診時に膀胱結石を認めました。
尿石分析からシュウ酸カルシウムが原因でしたので
手術をお勧めしました。

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 しかし、腎不全 ステージⅢでしたので
飼主さまは手術を躊躇していました。
飼主さまと相談し、食事療法と、サプリメントで経過を見ていました。
 臨床症状はなくなり、飼主さまも安心されていましたが
3ヶ月後に血尿を認め来院されました。
原因は、膀胱結石で、超音波検査にて大きくなった結石を認め
飼主さまも、不安になっていました。
 
 家族で検討され、手術を行う判断をされました。
当初のご心配であった、腎不全の麻酔に関して
病院と飼主さまで協議を重ね、手術を行うこととなりました。

 手術は、可能な限り、麻酔のリスクを減らすこと
麻酔時間の減少、麻酔の深度、麻酔前の準備、
もちろん、手術法も検討を重ね、手術を行いました。

 膀胱結石の手術は、開腹、膀胱切開、結石除去、閉腹の順番です。
・手術の前に、可能な限り術野の毛を刈っておく
・術前に水和を行い、酸素化もしておく
・術前鎮痛をおこなう
・術中の鎮痛管理を積極的に行う
・麻酔薬はセボフルレンに変える
・手術は、切開部の縮小、止血、手術機器の変更
以上を検討、変更し手術時間は、約30分で終了しました。

 手術は膀胱の一部だけ腹腔外に出す方法、
膀胱を全て出す方法があります。
術前に、膀胱結石の数と、大きさを診断しておくことが重要です。

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 膀胱を露出し、事前に測定していた結石の直径よりも
やや大きく切開しました。

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大きく切開すると縫合の時間がかかります。
さらに、膀胱は伸び縮みする器官なので、
大きく切開する必要はありません。

 開腹手術では、猫の肥満も重要な要素で
皮下脂肪、腹腔内脂肪も手術時間の延長になります。
特に、膀胱へのアプローチの場合、
皮下脂肪の量が大切です。
 このも、肥満傾向で、皮下脂肪、
腹腔内脂肪も多く、ここに時間がかかりました。

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一度付着した脂肪は、痩せても減っていないことが
多いため、尿石症と診断された猫は肥満に気をつけたほうが
良いでしょう。

 猫の腎不全は多く、中高齢の猫に多く発症します。
腎不全になると、麻酔のリスクや手術に関して
心配になると思います。
 特に、麻酔に関しては心配な方も多くいらっしゃいます。
ほとんどの手術には、麻酔が必要です。
ただ、麻酔のリスク、麻酔時間の短縮は可能です。
担当の獣医師と術前にしっかりと話し合いをすることで
飼主さまの心配も減らすことができますし、
猫本人の負担も軽減できます。



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