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新千歳動物病院のブログ
北海道の新千歳動物病院での症例(病気、手術など)を掲載したり、病院内で起こった事柄などを日々、書き込むブログです。 可愛い動物に起こったことを、飼主さんに向けて情報を発信していきます。

プロフィール

動物病院 院長

Author:動物病院 院長
関西出身 48歳
獣医学博士

獣医麻酔外科学会 評議員
獣医腫瘍学会
獣医皮膚科学会

妻、子供、犬4頭、猫2頭、フェレット1匹
と暮らしています。

趣味;登山、犬と一緒にクロカンスキー。
   

 

 

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犬の肉芽腫性髄膜脳炎(Granulomatous meningoencephalitis,GME)の治療
 犬の脳疾患には、多種多様な疾患があります。
症状は様々で、歩けなくなった、目が揺れている、痛がるなど
その子、その子で症状がすべて異なります。

 口を開けるのを嫌がる、食べるのが遅くなったと
来院されました。
 当初は、開口障害を疑い、顎関節症と仮診断しましたが
症状に脳脊髄疾患を疑うものが出てきたいたため、
MRIで脳、脊髄を撮影しました。
同時に、リンパ腫などの腫瘍、ジステンパー脳炎を除外するため
脳脊髄液を採取し、精査しました。
 検査の結果は、肉芽腫性髄膜脳炎(GME)でした。

GMEとは?
原因:不明
    炎症性病変が融合し、巨大な病変が生じることがある。
    病変は脳幹に局在することが多いが、稀に小脳、視神経、脊髄に認められることもある。

好発犬種:中高齢期の小型犬、特にプードルとテリアに多い。
       4-8歳の子に発症が多いとの報告もある

診断:確定診断のためには剖検、または生検が必要
    臨床的な仮診断はCSF検査により行われる

治療:免疫抑制剤の糖質コルチコイドにより治療を行う
    化学療法も行われ、特に視神経が選択的に侵されている場合には
    シトシンアラビノシドが有効なこともある。
    シクロスポリン、ミコフェノール酸、プロカルバジンは補助療法として推奨される。
                     (Simon R.Platt Small Animal Neurology より参照)



 このように、GMEの原因などは未だ不明な部分が多いのが現状です。
ここ数年、日本でも犬のMRIが撮影可能になりました。
診断まで確定しても、完治が難しい疾患に変わりは無いようです。

 診断を受けた飼主さまも、ご心配であることから
可能な限り、専門医と協議しながら治療を進めていくことにしております。
治療に関しては、免疫抑制剤の投与は変わりありませんが、
投薬料や、投薬の種類などは確定されていません。
 海外の報告でも、プレドニゾロン、シクロスポリン、シタラビンの
報告はありますが、比較対象の論文は少なく、今後の研究が待たれるところです。

下記は、カリフォルニア大学デービス校の教授が記載されていたものです。

GME affects dogs older than 6 months of age, and is most prevalent in dogs between 4 and 8 years of age.

 GME is characterized by a unique angiocentric granulomatous encephalitis consisting of a perivascular accumulation of macrophages often intermixed with lymphocytes and plasma cells. Three major patterns of histologic lesion distribution in brain and spinal cord have been described for GME:
1. The disseminated form, in which the most intense lesions occur in the upper cervical spinal cord, brainstem, and midbrain, often with less severe extension involving white matter of the rostral cerebrum (Figure 3A).
2. A disseminated form with angiocentric expansion forming multiple coalescing mass lesions of similar distribution.
3. A focal form, in which single discrete mass lesions occur in either the spinal cord, brainstem, midbrain, thalamus, optic nerves, or cerebral hemispheres, without dissemination. It remains contentious whether this form is a neoplastic rather than an immunoproliferative process.

The author recommends starting treatment with immunosuppressive doses of prednisone, giving the patient 1.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 1.0 mg/kg BID for 6 weeks; then 0.5 mg/kg BID for 3 weeks; then 0.5 mg/kg once daily for 3 weeks. The patient then receives 0.5 mg/kg every other day indefinitely. After the first 4–6 weeks of prednisone therapy, cytosine arabinoside may be added at 3–6 week intervals (administered as a subcutaneous injection at a dose of 50 mg/m2 Q 12 H for 2 consecutive days).
Dr. Richard A. LeCouteur
Professor of Neurology & Neurosurgery School of Veterinary Medicine University of California
Davis CA


 GMEに関して、ご質問やご相談があれば、
飼主さまと一緒に治療させていただければ、幸いです。
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竹串が胃を貫通し、肺まで達した犬の外科手術
  夏の時期なると異物の症例が多くなります。
BBQなどをしたり、お祭りで買ったものを食べてしまいがちです。

 この子は、朝から急に食欲と元気がなくなり
虚脱も起こし、かなり心配され来院されました。

 病院に到着時は、一般状態は改善しており
緊急の処置は必要ありませんでした。

 念のため、すぐに血液検査とレントゲンを行いました。
肝臓、腎臓、膵臓に問題はなく、内分泌の問題もありませんでした。
胸のレントゲン写真では、肺の一部に混合パターンが認めれれました。
 白血球とCRPの上昇が認められ、炎症もしくは感染症を疑いました。
 念のため、エコー検査を行い、異物が腸の中に認められました。
結果を飼い主さまにご説明し、何か食べることは?とお聞きすると
もしかすると、焼き鳥の串を食べたかも・・・と。
再度、レントゲンを確認しましたが、胃の中、腸には
串は写っていませんでした。
竹串のような木材はレントゲンでは確認できません。

 すぐにICUで入院を行い、抗生剤の投与を始めました。
翌日には元気になったのですが、炎症はやや改善はしたものの、
まだ、数値が高く、飼い主さまにCTによる精密検査を勧めました。
便には、砕けた竹串が出てきました。
 CTの結果、竹串が胃を貫通し、一部は肺に
その反対は、皮膚にまで達しており、瘻管を形成していました。
 すぐに緊急手術を行い、お腹を開け竹串を抜きました。
 竹串は、このようにほぼ丸呑みでした。

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 犬が竹串を飲むことは多く、
年に数頭、来院されます。
 多くが、嘔吐を主訴に来院されますが、
不思議なことに、この子のように、症状がなく
いきなり具合が悪くなり来院されることがあります。

 治療としては、内視鏡で摘出するのが一番、安心で
安全です。
 吐かせるということは、食道や胃に穿孔することがあるため
可能限り、行わない方が良いと言われています。

 この子は、術後経過も良く、無事退院となりました。
同時期に、急患で来院された子は、日曜日の午後のため
緊急の内視鏡手術ができず、血液検査、レントゲンで穿孔の可能性が
無いので、入院、点滴を行い、翌日に内視鏡による摘出を予定していました。
しかし、朝、胃の粘膜保護剤の投与をした後、すぐに嘔吐をし、
胃の中にあった、竹串が出てきました。
 
 こんなことがあるのか?と目を疑いましたが、
ちゃんと吐いてくれました。
飼い主さまは、朝、手術の内容の説明と手術の立会いの確認のため
来院されましたが、まさか吐いているとは知らず
この結果に、びっくりされていました。
こちらが、嘔吐した竹串です。
大きさの確認のため、首輪と比較しています。

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一部が折れているので、これを上手に吐いたとなると
ミラクルです。
 
 このような、奇跡のようなことが起こることもありますが、
この子が、特別であり、みんな竹串を吐くとはいきません。

 竹串、爪楊枝を飲んだり、食べた際は
病院で内視鏡による摘出をお勧めします。
もちろん、開腹手術も可能ですが、
内視鏡であれば、ほとんどの子がその日に帰宅できます。

 この時期は、本当に異物が多くなるので、
今ままで以上に、気をつけてください。

 2頭とも、良くなって安心しました。
猫の口唇に発症した肥満細胞腫の分子標的治療(イマチニブ)
 猫ちゃんの唇にできものができたと来院されました。
本人は、あまり気にしていないけど、大きくなって
どうしよう?と飼い主さまは悩んでいらっしゃいました。

 診察をさせていただくと、リンパ節の腫脹はなく
本人も気にしている感じはありませんでした。

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 飼い主さまに、精密検査を勧めると、心配なので
皮膚の検査をして欲しいということで、病理検査を行いました。
病理検査は、皮膚の一部を検査センターに送る生検を
行いました。
生検は、確実な病理検査で再検査の必要もありません。
ただ、少し痛いので、怖がりな子や、採取が難しい場所の時には
鎮静をかけて行うこともあります。

 検査はすぐに終了し、圧迫止血と
医療用の止血剤で出血を止めて終了です。
 
 病理検査は、約1週間で出ました。
結果は、「肥満細胞腫」でした。
飼い主さまに、肥満細胞腫の報告書、治療法、病気のことを
お話ししました。

 腎臓病や、糖尿病もあるので
飼い主さまは手術を望まれませんでした。
 治療法は、腫瘍の遺伝子の変異を認めたため
分子標的治療薬をお勧めしました。
 
 国内では、トセラニブという分子標的治療薬が
動物用として販売されています。
しかし、トセラニブは高価であることから
なかなか、投薬を始めるのは難しいのが現状です。

 飼い主さまには、海外では安くて効果のある
イマチニブがあることをお話ししました。
当院では、血圧の高い子にイマチニブを使用していることから
常時、在庫があります。
 1日1回で、1日100〜200円です。
トセラニブは、イマチニブの数倍〜数十倍の医療費がかかります。

飼い主さまから、同意を得られたので
早速、治療を開始しました。
治療後は、徐々に腫瘍が小さくなり
飼い主さまも、イマチニブの効果に納得されていました。
さらに、トラセニブより副作用が少なく、安心して
使用できます。
この子も、副作用はなく、飼い主さまも安心されていました。
治療の方は、投薬1か月でこのように
以前の半分くらいの大きさになりました。

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 飼主さまも小さくなったと喜ばれていました。

 肥満細胞腫は犬や猫の皮膚に発症します。
悪性度は、様々ですが、手術の際は大きく切除する必要性が
あることから、飼い主さまも心配される腫瘍です。
 この子のように、持病があり
手術はしたくないという方には、代替療法として有用です。

 手術を行いたくない場合、
麻酔が怖いという方は、この治療を考えても
良いのかもしれません。
 

飼い主さまのお薬をそのまま飲んだチワワの内視鏡摘出術
 愛犬が食べてはいけないものを口にすることがよくあります。
夜に飼い主さまのお薬を飲み込んで、その後嘔吐を繰りかえして
心配で来院されました。
 本人は元気に見えますが、飼い主さまは心配で心配で
憔悴しきっていました。

 夜、飼い主さまの目を盗んで食べたらしく
その行動を飼い主さまも見ていたようです。
 お薬を飲んでから、朝まで何度も嘔吐していたようです。

 飼い主さまは、飲んだお薬を持参していただいていました。
お薬は睡眠導入剤で、犬には使用しないお薬でした。
 念のため、お薬の副作用を確認しました。
この薬はこの子にとって、大きな副作用がないことが
確認されました。

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飼い主さまも安心されましたが、嘔吐がかわいそうということでした。
嘔吐の原因は、薬の包装ごと飲んでいたので、
包装の角の部分が胃に接触し、刺激になり
嘔吐を繰り返していました。
 
 飼い主さまには、薬がウンチに出てくるまで経過を見るか、
嘔吐した際、一緒に吐き出すのを待つか、
催吐剤で嘔吐させるか、内視鏡で取り出すか相談しました。
 これ以上、嘔吐をさせることが可愛そうなので
内視鏡での摘出を選択されました。

 内視鏡での異物摘出術は、麻酔管理さえ行えれば
当日に帰宅でき、食道や胃の障害もありません。

 早速、内視鏡での摘出のため、血管を確保し点滴を流しました。
麻酔のため、挿管を行い、飼い主さま立会いのもと、行いました。
 お薬は、胃の中に入っていました。
すぐに、バスケットで摘出を行いました。

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 摘出後は、3時間くらい、点滴を行い
無事、夕方に帰宅となりました。
 自宅では、胃の粘膜保護剤などで経過を見ました。
摘出後は嘔吐もなく、元気になり飼い主さまも喜でいました。

 犬も猫も、食べないだろうと思うものを
いつの間にか口にしていることがあります。
特に若い犬や猫は何でも口に入れます。
 
 蓋の付いたゴミ箱を使ったり、ペットのいる部屋には
ゴミ箱を置かないなどの予防も必要なのかもしれません。
猫の肺に転移した乳腺癌の補助療法
 避妊をされていない猫の胸やお腹にイボが出来ると
乳腺腫瘍の可能性があります。

 猫の乳腺腫瘍は、避妊をされる方が多くなり
来院されることが減ってきている病気です。

 この子は、以前、他の病院で乳腺腫瘍を切除し
良性乳腺腫でした。
 その後、またイボができたが
忙しく、来院ができず、大きなり、自潰して来院されました。
 診察時は、腫瘍が大きくなり、
自ら舐めているようでした。

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腫瘍の状態から、外科的に切除を勧めました。
年齢が15歳と高齢なので、血液検査を実施しました。
腎不全を発症しており、手術前に
ICUで酸素化と、血圧と腎機能を正常に戻すため
点滴と昇圧剤の投与を行い、準備万端にして手術となりました。

 飼い主様は、年齢と、腎臓病などがあることから
手術を心配されていましたが、術前からの治療で安心されました。

 手術は1時間で終了し、覚醒もスムーズで
ICUで1泊となりました。
 
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 術後も経過は良く、日に日に元気になっています。
抜糸は、10日後に行うこととなりました。

 腫瘍の大きさ:8cm3または直径2cmより小型の腫瘍では比較的予後が良く(生存中央期間が3年以上)
          直径3cmあるいは27cm3以上の腫瘍では生存期間が短い(生存中央期間が6ヶ月)。
 リンパ節転移:リンパ節転移のあった猫は、診断から9ヶ月以内に亡くなる率が高い。

 猫のステージ分類
Ⅰ、腫瘍 <2cm
Ⅱ、腫瘍  2−3cm
Ⅲ、腫瘍 >3cm N1
Ⅳ、M1
Ⅴ、ー

ステージが高いほど、予後不良
(Kadosawa et al.1996)

猫の乳腺腫瘍は悪性の腫瘍が多く、
再発も多いことから、可能であれば、
両側、もしくは、片側乳腺摘出術を行います。
 今回も全摘出術を行う予定でしたが、
年齢、腎不全などから部分切除となりました。

 病理検査の結果は、悪性の乳ガンでした。
さらに、リンパ節の転移も認められました。
 猫の乳腺腫瘍は大きくなればなるほど、
ステージが上がり、生存率も低下します。

 猫の皮膚表面にできる腫瘍は悪性が多いため
可能なら早期に診断、治療をお勧めしています。

 術後、補助療法を行うか相談になりますが、
当院でも猫の乳腺癌の術後、補助療法には
いくつか選択肢があります。
 
 今までの治療法は、
ドキソルビシン、カルボプラチン、ミトキサントロン、
メトロミノミック、チロシンキナーゼ阻害薬など
当院でも、いろいろと行いました。

 現在、猫の乳ガンに、チロシンキナーゼ阻害薬を投薬し
CTでの肺転移が認めている子には効果があり、
1年以上、肺転移が抑制されています。
副作用もなく、頑張っています。

 過去の論文からは
リンパ節転移を行うと、予後が悪いと記載されています。
可能限り、猫に負担をかけず長らく生きていただける
方法があれば、取り入れていきたいと思います。



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